実質FF金利の推移からみるFOMC利上げの正当性とは?
ここ最近株式市場が急落が続き、そしてトランプ大統領の
介入発言があったにもかかわらず、本日FRBは0.25%の
利上げを決定しました。
今回の利上げには、批判の声が多いです。しかも株式市場が
これだけ急落しているなか、また経済もスローダウンする見通し
が強くなっているからです。
しかし、FRBの利上げ姿勢について適正であるとの主張も
存在しています。
そこで今回はFRBが利上げ姿勢を続けていることの正当性に
ついて語りたいと思います。
FRBが委託されている任務とは?
FRBが委任されている2つの任務があります。それは、雇用拡大を
することとインフレを安定させることです。この二つを実現させるためには
バランスのとれた決定が必要となります。すなわち、低金利政策は雇用促進に
貢献しますが、経済理論からすれば、インフラを助長させる原因ともなります。
ただ実際には、中国からの低価格輸入によってここ何十年、インフレ圧力
はかかっていません。
米国の金利決定要因は
FRBは、インフレ率を政策方針決定の指針として使いたがりますが、
その参照指数である雇用コスト(PCE)は、25年以上も3%を下回っています。
一方失業率は、難しい問題です。失業率は、2009年後半に10%に到達して
います。したがって誘惑にかられるのは、トランプが望んでいるように、
低金利を維持することです。
なぜ利上げ決定が適正なのか?
低金利制作が必要以上に続けられた場合、2000年代中盤に起きたように
過剰信用提供と住宅ブームのような資産価格バブルを招きます。1995年以来
米国のGDPに対しての資産価格比率は4.6%から6.8%に上昇しました。
別の見方をすれば、もしGDPに対する株、債券、不動産などの資産保有比率が今日と
同じで、価格は1995年時と同じであると仮定するならば、資産価格は33%
あるいは430兆ドル失うことになります。これは、金融危機を勃発させる規模と以上
の深刻さです。
資産バブルは過去25年間、経済危機の発端となっています。インフレ率が上昇することよりも
はるかにに危機を招く起因となっているのです。
さらなる資産バブルによる恐慌を防ぐには、金利水準を中立レート以上にする
必要があります。それをFRBは今実行していると言ってもいいと思います。
利上げは、次リセッションが訪れた時に対応政策の余地を与えます。ゼロ金利に
戻すことは簡単ですが、その後に困難に直面するのです。
まとめ
今回の利上げは、FRBが予告していたことです。FRBが約束を履行していることは、
大統領の脅しに屈せず、FRBの信用性を保っているのです。これは
パウエルFRB議長にとっても最良の策だとおもいます。
金融危機以前の50年間、実質フェデラルファンド利率は、その期間の80%以上の間
プラスの領域でした。そして今回ここ10年間ではじめて実質フェデラルファンド
はプラスの領域に復帰しようとしています。↓グラフ参照
これは市場にとっても歓迎すべきことであると思います。