孟晩舟CFOが保釈釈放される可能性は?そして為替市場ドル円への影響は?
先週市場に大きなインパクトを与えた、ファーウェイ副会長の逮捕。
世界では毎日のように中国を主役とした新たなドラマが起きている
として連日報道しています。孟晩舟CFOが、米当局者らの要請により
カナダのバンクーバーで逮捕されて以降、中国は猛反発、連日のように
アメリカに対して孟晩舟CFOの釈放を強く要求しています。
この問題のなにが深刻なのか
孟氏は対イラン制裁違反の疑いがあるということで逮捕されましたが
この逮捕の裏には、もっと深刻な米中の世界制覇を狙った構造的な
問題があります。
メディアは今回の逮捕について、新たな米中貿易交渉の最中というタイミングに注目して
いますが、これは単なる貿易戦争ではなく、世界のネットビジネスの支配権
にかかわる問題です。
子の逮捕は、中国政府に国際貿易規範に反する行為をやめさせるための行動と
理解するのが最も適切だと思います。
ファーウェイは世界最大の通信機器メーカーで、携帯電話市場では世界2位の
地位を占めています。孟氏は、ファーウェイの創業者である任正非氏の娘であり、
同氏の逮捕は、中国通信機器業界の巨人である同社のサイバー攻撃を
めぐる懸念が高まっていた中でおきました。
この問題は実際には過去にさかのぼって2012年にすでに起きていました。
米下院情報委員会はこの年、ファーウェイとZTEが米国の法律に違反しており、
スパイ活動などに利用される可能性があると警告していたのです。中国共産党が
「同社内の党委員会」を維持していることを指摘し、また同社がイラン制裁を
順守していないこともすでに問題になっていたのです。
実際の容疑は詐欺罪?
アメリカ司法省は孟晩舟氏がファーウェイの秘密の子会社SkyComに
アメリカの制裁措置に違反するイランとの取引を実行させた疑いを持っています。
このとき、制裁を免れるためにアメリカの金融機関に虚偽の事実を告げていた
事実をどうも握っているようです。ここでの容疑は詐欺行為となるのです。
この容疑はすでに2016年から上がっており、アメリカは以前からHuaweiと
中国政府の極めて密接な関係を国家安全保障に対する脅威であると
見ていたのです。
国家経済会議のラリー・クドロー委員長は今日のCNBCの番組に出演し、
アメリカはファーウェイに対して以前から警告を繰り返していたと
述べています。
孟晩舟CFOの保釈釈放の可能性は?
孟晩舟CFOの容疑が財務担当のトップとして米国の金融機関
に嘘の情報を提供していたとう容疑は、かなり重く、詐欺罪
に充当すれば、最大30年の禁固刑という重い罰のようです。
孟晩舟CFOのアメリカへの引き渡しを認めるかどうかの審理は
数週間から数ヶ月かかる可能性があるようです。アメリカ司法省は
カナダの裁判所に対し60日以内に正式な引き渡しを申し立てる行う
必要があるようです。またカナダ司法当局も、もし孟晩舟氏を
保釈すれば、本国に逃亡する可能性があるとの懸念をもっており
保釈を認める可能性は低いと思われます。ここでも中国と米国との
政治的な板挟みにあう形になっていますが、中国はカナダに対しても
物凄い圧力をかけてくることが予想されます。
また保釈釈放に否定的なのかといえば、米国司法局は司法取引によって
実際に中国当局がこの問題に絡んでいたことを立証しようとしている
可能性があります。そうなれば、完全に国家間の申告な論争になる
可能性が高いと思います。
為替ドル円への影響は?
この問題、米中貿易戦争よりももっと踏み込んだ深刻な問題
になってしまう可能性が高いと思います。
このニュースが出てからの市場の反応は深刻さを感じるものが
あります。株式市場を筆頭にドル円市場もリスクオフの反応
をしています。
それに反応してか、パウエルFRB議長も来年からの米国の
利上げ政策を見直すことを示唆してきています。
今月の利上げは実施されるかもしれませんが、それ以降は
利上げペースが遅くなる、あるいは中止する可能性も出て
きました。ドル円市場では、ご存じのように、相当なドル買い
ポジションが貯まっており、利食い売りあるいはストップロス
売りに見舞われる展開も予想しています。