イタリア五つ星運動のグリッド台頭とイタリア経済危機によってユーロの見通しは?
フランス大統領選挙が近づくにつれて、フランス国債
とのスプレッドが注目されていますが、イタリアの債券市場も
売り圧力にさらされています。12日には仏国債が反発したものの、
イタリア国債は続落する動きとなりました。フランス大統領選だけ
でなく、イタリアのさまざまな問題も注目しはじめています。
イタリアの問題とは
イタリアの問題として、低成長、銀行の不良債権、巨額の
政府債務を挙げられます。イタリア国債は、ECBの国債購入
プログラムで支えられていますが、来年には同プログラムは
規模が縮小されると広く予想されています。
イタリアの政治・経済は以前から投資家の懸念要因です。
そして最近の国債相場の動きからは懸念が再び高まっている
ことがうかがえます。10年物イタリア国債のドイツ国債に
対するスプレッドは、昨年4月以降ほぼ倍増し約2.1%に達し、
これは2014年初め以来の大きさとなっています。
ファンダメンタルズの悪さと構造改革の遅れ
欧州委員会は、2017年のイタリアGDP伸び率を0.9%と
予想しています。これは欧州連合(EU)加盟国の中で最低
な数字です。一方、政府債務残高の対GDP比は133.3%に達し、
EU諸国ではギリシャに次ぐ高水準になると見込まれています。
生産性の低さと構造改革が遅々として進まないことが、
イタリアの成長を長年阻害していると指摘されています。
イタリアでもポピュリスト政党が勢いを増していて、2018年に
行われる見通しの総選挙で、ユーロ懐疑派の「五つ星運動」
が大幅に議席を伸ばしそうな情勢となっています。
一方でユーロの買い材料は
イタリア経済にとって、よい兆しと言える部分は、
側近の3月の製造業PMIが6年ぶりの高水準となったこと
です。また最大手銀ウニクレディトは1月に株主割当増資で
75億ユーロの資金を調達することができ、イタリアの銀行
の厳しい状況が和らぐ材料も出ています。
こうした状況のなかで、ユーロは膠着状態が続いていますが
中長期的には、ユーロの売りスタンスを維持したほうが
よさそうです。