円金利スワップレート(Libor)の上昇で気になるドル円への影響は
週末の黒田日銀総裁の発言で、円金利スワップレートが上昇
し、日本の金利マーケットと為替市場に暗雲が立ち込め
はじめてきました。
円金利スワップレート対Liborとは
円金利スワップとは、固定金利の交換レートのことをいいます。
金利スワップとは、同一通貨の固定金利と変動金利との交換を
行うスワップ取引をいい、通常、日本では「6ヶ月LIBOR」を
対象にして金利を交換する取引です。Liborは、代表的な変動金利
指標でロンドンインターバンク市場における短期金利の
指標となるものです。金利スワップは交換対象になる固定金利のこと
を指し、マーケットの市場金利の一つの基準となっています。
なぜ円金利スワップが動揺しているのか
日本銀行の黒田総裁は先週、海外を中心に高まっていた
金融緩和縮小への思惑へとつながる発言をダボス会議で
行いました。その後火消しに動きましたが、大きな効果は
なかったようで、円スワップ金利の国内と海外での格差から
垣間見え、円高の一因となっているようです。
海外勢が金利スワップ取引決済に利用する世界最大の
ロンドンが提示する20年物の円スワップ金利は、昨年11月
の黒田総裁による金融緩和の副作用に関する「リバーサル・レート」
への言及や今月9日の国債買い入れオペ減額を受けて大きく上昇し、
国内との金利の差が急拡大しました。黒田総裁は早期の出口論
を明確に否定しましたが、海外からの動きに歯止めがかからなく
なってきているようです。
海外勢は米欧の正常化を背景に『次は日銀』と考えがちで、
もしもの金利上昇に対して保険を掛けているようです。
「国内勢は顧客に対する円建ての支払いを抱え、一定規模の
円債を買わなくてはならないので、このことから円スワップ金利の
内外格差につながっているようです。
金利スワップ取引は、もともと金利リスクを回避するためなど
に利用される金融派生商品ですが、現物の日本国債を売買せずに
相当規模の元本に対する円金利だけの動きにリスクヘッジする場合
にも使われる。ロンドンの清算機関でのスワップ金利が高止まり
しているのは、海外勢が日銀による金融緩和の縮小が近いと
依然としてみていることが大きな要因と言えます。
いずれは日本も金利上昇?
黒田総裁は記者会見で、直ちに金利の調整が必要になると
は全く考えていない」とも述べていますが、ドル円市場は
とくに海外からの円買いで反応しています。ムニューシン
財務長官のドル安歓迎発言も加わり、ドル円は1ドル=108円台と
約4カ月半ぶりの高値を付けています。
今後のドル円への影響は
黒田総裁があれだけ早期の金融引締めを否定しているのに
為替市場は無視しており、海外勢には響いていないようです。
海外勢は、金融正常化をやらないというのは短期的な話と
みており、いずれはECBと同様、日銀もいずれは金利の
正常化に手をつけるという中期的な視点を重視した、ドル円
での円高にポジションをシフトさせているようです。
気になるのは、現状の市場全体のポジションです。
外貨預金や債券などを含めて、大多数の投資家がドルロング
のポジションを所有しているなかで、今回起きている円高
は、止まらなくなっている懸念があります。
このままただ見ているだけでは、どこまで損失を被るか
不安になるドル円市場にシフトしているリスクも高く
なってきているように見えます。
今後はドル円市場も動きそうな気配で、→のFX口座ランキング
も参考に、ツールとして用意しておくことも大事な局面に
入りつつあるように思います。