
先週起きた宙吊り議会結果と経済動向の攻防で決まる今後の為替市場
先週、金融の引締め的な圧力は各国において継続しました。
Fedはおそらく今週のFOMCで25bpsの利上げとバランス
シート縮小に向けた計画を打ち出してくるでしょう。
ECBでは、先週の理事会では緩和策を維持しましたが
最終的な行き過ぎた緩和策からの出口を話し合って
いるようです。日銀は、労働市場がタイトになっている
ことに直面しており、中国については、ターゲット
金利の引締めを継続しています。
宙吊り議会となった先週の英選挙
先週は大きな政治イベント
があり、イギリス総選挙の結果とコミー前FBI長官の議会証言
は、政治的な今後の不透明さを増したとおもわれます。
しかし、市場全体としては、低インフレのなか世界的な経済成長
は持続していることに焦点があたり、株式は好調でドル円も
膠着状態です。
その中で気なるデータのひとつは、担保価値の余剰を通じた
資金調達(MEW)が失速したことです。この現象は2004年から
2006年にかけて起きていた現象ですが、2008年以降からは
見られない現象でしたが、現在現れてきています。
信用評価が低下しつつある状況は注意が必要ですが、一方で
アメリカの個人消費は堅調さを維持し牽引役となっています。
先週に失業者申請件数が10000人減ったことは良い傾向
でした。
気になる米経済指標は
最近のデータで労働コストの上昇によって収益見通しが
下方修正されています。生産性は前年比
1.2%と上昇していますが、第2四半期のGDPが上昇
するためには、さらなる生産性の上昇と労働市場の
改善、そして資本支出の増加が必要となります。
次の経済成長の鍵となるのは、政府の財政支出の増加
ですが、ワシントンが混乱していても、
2018年までに経済成長政策的な進展が見られるというのが
一般的な見方です。
側近の調査によると、企業経営者は、新政権が
税制改革と規制緩和の実施が進展することを期待して
いるようです。アメリカの新規採用雇用も引き続き
好調です。
英の宙吊り議会は解決しない
宙ずり議会となってしまった今回のイギリス総選挙の
結果は今後問題がより複雑化することが考えられます。
イギリス保守党は、北アイルランドのDUPとの連立政権を
模索しそうですが、アイルランド国境の移民問題について
双方で反する主張もあり、今後の運営が簡単でないことが
予想できます。EU離脱交渉についても選挙前よりも
イギリス当局者の交渉能力が弱まり、英ポンドについても
下落圧力が継続すると
予想します。メイ首相に対する辞任圧力も本人意思がない
にしても、強まることが予想されます。
今後の為替市場は?
政治懸念とよしとされる経済指標の攻防が続いていますが、
米国の利上げを含め、ドル高要因はすでに織り込み済み
であるとみています。
今後は英選挙の後、イタリアの総選挙、スペインのカタルーニャ
地方の独立といった不透明政治要因が続き、ドル円では
上値が重い展開が続くとみています。