今週のECB理事会は見送り優勢?そしてユーロの注目点は?
今週の注目材料といえば、なんといってもECB理事会です。
先週イングランド銀行が緩和を見送ったことで、今週のECB
理事会でも見送りとの見方が大勢を占めています。
BREXITの影響は限定的?
先月のEU首脳会議では、向こう3年のユーロ圏成長率を最大0.5ポイント下押し
する公算が大きいとの見方を示しました。
一部のエコノミストは、ECBは積極的な措置で応じるとみており、おそらく
21日の政策理事会では1兆8000億ユーロ規模の債券買い入れ措置
を6カ月延長すると予想している向きもあります。
しかしながら、イングランド銀が先週、緩和措置を先送りしたことで、当面、ECBが手
を打つ見込みは薄れています。
イングランド銀が英国の状況は即座に刺激策を要するほど深刻ではないと評価しており
英国の混乱がユーロ圏へ及ぼす影響は小さいとみられる、と述べています。
英政策担当者は、ブレグジット決定を受け先行き不透明感が強まる中、国内経済に減速
の兆しが多く見られると指摘したが、さらにデータを入手し経済の健全性が見極めやすく
なる8月まで、一切の措置を見送ると決めています。
イングランド銀行に追随して様子見?
イングランド銀が間髪を入れず反応していれば、ECBもそれに倣うよう圧力が高まった
だろうが、実際にはそうならなかったので、ECBは腰を据えて取り組めるようになった
との見方が強まっています。
その背景にはイングランド銀の政策判断を受け、英ポンドはユーロなど主要通貨に対し
急伸し、それまでの下げをある程度取り戻しています。このため、ユーロ圏の大手
輸出業者は英国の競合企業に対する競争力が強まっている。一方、ユーロは国民投票以降、
対ドルで軟化しており、ユーロ圏企業の国際競争力に追い風となっています。
今後はイタリアの銀行の救済問題が焦点
ただ、欧州の銀行の苦境を見れば、英国のEU離脱による強い影響は明らかです。
イタリアの銀行株は同投票以降に約20%下落し、イタリア政府は銀行部門に対する
数百億ユーロ規模の資本注入について承認を得ようとしています。
欧州銀に対するブレグジットの影響はすでに顕在化しており、今後のベイルインの
議論が今後の焦点になりそうです。