今年人民元の安値引けで懸念される中国外貨準備高のM2比率の上昇
ドル円相場は、年末にむけて一服したようにみえますが、
一方で人民元の対ドル相場は人民元安が止まらないまま
年末をむかえています。
中国経済の健全性を測るもう一つの目安である
外貨準備高に対するM2の比率h悪化し、介入の代償を浮き彫り
にしていています。外貨準備高に対する広義のマネーサプライ(M2)
の比率は2015年末の6.3から7.4に上昇しました。
外貨準備は中銀のバランスシートで資産として計上され、
経済へのマネー創出を支えます。M2比率の急速な上昇は、
新興国においては危機の前兆となるのが通常です。
来年は中国の金融政策も難しくなる?
このことにより、中国の金融錬金術の限界を示すという
懸念も台頭してきています。
中国は長らく、マネーサプライの拡大を資本流入に頼って
きました。ここ数年のように資本が逆流すれば、国内の
銀行システムが圧迫されます。その一つの兆候として、
銀行はより安定した預金ではなくインターバンク市場を
通じた短期の資金繰りへの依存を強めています。こうした
短期金融市場の資金を潤沢に保つのが難しくなってきます。
中国人民銀行は為替市場に介入する際、金融システムから
流動性を吸い上げます。その分の資金は低利で銀行に融資
して埋め合わせようと現在はしています。ただその結果
として、圧力が高まると金融システムが概して打撃を受け
やすい状態にもなり、12月のドル急騰で中国の債券市場が
混乱に見舞われています。
トランプ政権対中国政府の動向要注意
貿易と地政学的にも中国に圧力をかけようと
しているトランプ政権が、警戒すべき要因と
来年はなりそうです。
人民元安はエマージング市場の混乱にもつながり
かねないため、来年はトランプ就任とともに
リスクオフの流れ変わる可能性もあると思っています。
その意味でも、ここからのドル円は一方的に動かず
調整局面に入ると予想します。