今回のECB理事会の決定は10月テーパリング開始ではなく緩和政策の続行だった
昨日のECB理事会で、量的緩和の終了とテーパリングが始まる
ことが発表されると思っていた参加者が多かったですが、
ECBはまだ、投資家を驚かせることを止めていなかった
ようです。
今回のECB理事会決定はテーパリングではない
今月の理事会では、資産買い入れの終了時期を手前に
引き寄せる一方で、早期利上げの可能性をさらに遠ざけ
ました。ECBは10月から、資産買い入れ規模を
月額150億ユーロと従来の半分に減らした上で、今年の
12月で新規買い入れを終了する方針を示しました。償還資金の
再投資は継続するとしています。この発表はある程度予想されて
いたところですが、実際に再投資をするということで、
テーパリングにはなりません。
参加者が驚いたポイントは
足元のユーロ圏統計の弱含みやイタリア政局混乱を巡る市場の
懸念を受けて、一部ではECBが量的緩和プログラムに関する
決定を7月まで先送りするとの見方も出ていました。
そして、市場が最も驚いたECBの決定内容は、ECBが
主要政策金利を現行水準のままで、すなわち、マイナス0.4%
のままで少なくとも2019年夏までは、そしておそらくそれ以降も、
据え置くと表明したことです。
これを受けてのユーロドルの見通しは
この発表を受けて、ユーロは当初、資産買い入れ縮小の発表直後
に急伸していましたが、一転して売られ、0.02ドル近く安い
1.163ドルに沈みました。結局ECBはハト派的金融政策を続ける
ことを市場にコミットしてしまいました。これは市場が先走ることを
阻止することである、つまり、投資家は当面、利上げ時期の
後ずれしか予想することしかできなくなります。
今回のECBの決定により、利上げを着々と進めるFRBとの
違いを際立たせることなりました。FRBとECBの金融政策
の開きは、今後もっと顕著になりそうです。
ユーロ圏の経済指標が軟調な時期を脱して持ち直しても、
ECBが政策を変更されないと参加者が思ってしまうと
ユーロを押し上げることは難しくなりそうです。
このユーロとドルの金融政策の違いだけをみれば
ユーロドルはしばらくは、売られやすい状況が続き
そうです。