中央銀行のバランスシートから見るポストコロナのドル円の予想は?
現在、ポストコロナについて語るのは早いかもしれません。
しかしながら、経済は待ったなしで動いており、この間も
為替市場も動いております。
この2か月間、新型コロナの世界的感染の伴うダメージが
計り知れないものがありますが、その経済対策についても
各国で差が出ています。
米国の経済対策は
米国では新型コロナウィルス感染拡大のペースがかなり早いもの
がありました。新型コロナウィルスに対する米国政府の対応は素早く、
日本では1人付き10万円配布の方針がやっと示されたところだが、
米国では既に中所得家庭の8000万人に対して給付金が支払われ、
3500億ドル分の中小企業向け支援ローンも既に実行され、
増額が決まろうとしています。
FRBと日銀のバランスシートを比較すると
FRB)のバランスシートは既に前年比で60%以上膨んでいます。
9%程度しか膨んでいない日銀のバランスシートとは
大きな差がついています。しかも日銀のバランスシート増加の
ほとんどはドルの流動性供給となっています。
リーマンショック直前2008年1月の時点のバランスシートの規模
と比較すると、日銀は5.4倍程度となっていますが、
FRBは7倍を超えています。
実額ベースでみたバランスシートの規模を比較してみると、
日銀が609兆円、FRBが6.4兆ドルとなり、3年ぶりに再び
FRBの規模が大きくなっています。
中央銀行のバランスシートとドル円との関係は
日米の中央銀行のバランスシートとドル円の動きの関連性
を比較してみると、バランスシートが膨らんでいる通貨ほど
通貨安になる傾向にあります。その意味でいくと、目先は
かなりの円高となることを示唆している状況となりますが
果たして今回はそうか疑問もあります。
重要視しないといけないのは、中央銀行のバランスシートの規模
そのものではなく、中央銀行のバランスシートの変化が金利に影響し、
それが為替相場にどう既を与えているかを考えるべきです。
中央銀行のバランスシートが膨らむということは、基本的には
経済のファンダメンタルズは悪化し金融緩和に陥っていることも
ある側面では意味しています。とういことは、バランスシートが膨らんで
いる通貨のほうが低金利に追い込まれていることが言えますが
日本の場合はすでにマイナス金利に追い込まれています。
一方で米国の金利がかなり低いところまで低下していますが、ここから
FRBが積極的な米国債購入を続けても米金利の低下余地は
限定されているため、為替に与える影響も限定的であると
考えられます。
ポストコロナのドル円の見通しは
ポストコロナで考えるポイントは、FRBの資産買入が
今後もっと膨らんでいく可能性が高いことです。
そのことによるドルに与える影響です。
2008年から2009年にかけてFRBがバランスシートを
拡大させた後、ドルは下落基調をたどりましたが、2013年から
2014年にかけて拡大させた時には、逆にドル高が始まっており、
FRBのバランスシートとドルの間に明確な関連性はなさそうです。
中央銀行が民間銀行から国債を買い入れるだけであれば、ドルは
実際には市中に出ていく訳ではないので、貨幣の量が市中で増える
現象は実際には起きていないからです。しかし、今回FRBは
比較的大規模にプライマリー市場でも社債を買い入れたり、低格付けの
社債も購入しようとしています。ということは、ドルの通貨自体の
信任が揺らぐことにもつながりかねませんが、今回は世界全体で
恐慌に陥っている事態であり、円にとってみれば、さらにファンダメンタルズ
でひどいことになっています。
とういことで、こういった非常時に対する経済対策で為替がどう動く
は以前の関連性を当てはめることは難しいと思われます。
日本経済は、デフレに逆戻りする可能性がありますが、米国のインフレ率
も同様に低下することが予想されているため、
日米のインフレ率格差はいったん縮小することが予想されます。
ドル円のインフレ率格差が縮小すると、動きが限られる傾向にあります。
これらを総合して考えると、今後のドル円は方向感が出ずらい展開
がしばらく続く可能性が高いと思われます。
(チャート:楽天証券)
まとめ~ポストコロナの日本は?
このコロナ危機に対応して米国政府の積極的かつ迅速な財政支出は、
明らかで、今後もこの方針を続けていくことが想定されます。
他方で日本は、アメリカよりももっと地盤となる経済ファンダメンタルズ
は深刻なはずなのに、単なる政策転換ではなく、システムをも
変える覚悟が日本当局にはないようです。中途半端に
だらだら対策をとるスタンスを続けている日本経済は、中長期的
には、もっと深刻になることを懸念します。
今回の新型コロナウィルス感染拡大の影響とそれに対する政策対応が、
予期せぬ大きな相場をもたらす可能性も否めないと
思います。その時は予想だにもしないような大きな円安では
ないかと個人的には思います。