中国人民銀行の人民元相場コントロールの行方が今後のエマージング市場を左右する?
人民元の不安定な動きが市場を動揺しはじめています。
この数カ月間、中国は国内市場で元安を誘導してきましたが、
それでパニックが起きるということはありませんでした。
投資家は元安の許容限度を試すかのようにオフショア元の価
値をどんどん下げていっていました。
受け入れがたい人民元安
ところが、元安が許容限度を超えたところで政府は介入しはじめ
ました。米連邦準備制度理事会(FRB)が直近の
FOMC会合の議事録で投資家の不意を突くと、
ドルは値を下げ、元は急騰しました。
中国人民銀行が採用している通貨バスケットでは
中国は世界の通貨の値動きの影響を弱めるため、最も影響が大きく
ボラティリティが高い主要通貨の構成比を引き下げました。
ところが問題はこの数日間、中国がそのバスケットを無視してきた
ように見えることです。
中国が自国市場の開放を試みようとするなか、世界の市場圧力に
対処するのはこれまでよりずっと難しくなってきています。
米国の金融引き締めやユーロ安・円安のせいで、元を通貨バスケット
に対して安定させるという約束が守りづらくなっています。
人民元安の影響は他の市場に影響を及ぼす?
主要貿易相手国の通貨の価値の急落は経済成長の
障害となります。ドル高は中国から数十億ドルの
資金を流出させ、外貨資産の蓄積を促してきました。
このため中国の金融政策は経済成長の維持よりもリスク管理が
目的となっており、政府が元の急落を食い止める能力は
さらに低下しています。
また人民元が下落すると他のエマージング市場にも悪影響を
与え、エマージング市場の株価にも悪影響を与えてきて
います。
エマージング市場の柱である貿易が人民元安とトランプ政権
による保護貿易主義によりさらなる悪影響を及ぼす懸念が
高まっています。
今後の市場の注目点として、限界値達した人民元安がこれで
おさまるのかどうかも注意が必要だと思います。