USDCNY相場は中国の経常収支が今世紀初の赤字転落なったことでどうなる?
中国の商業経済の歴史的変化を表すものとして、
2018年の第1四半期に、中国は今世紀始めて、
経常収支赤字を記録しました。
中国の経常収支赤字は、2001年第2四半期以来始めて、
第1四半期に340億ドルの経常赤字に転落しています。
中国の経常収支赤字の背景は
毎月の国際収支データによると、中国の第2四半期の
経常収支は、黒字になる見通ですが、例年よりはかなり
小さい黒字幅になる見通しです。
結果的には、今年上半期の経常収支は赤字に転じる
可能性が高くなっています。
2018年中国の前期の経常収支が、第2四半期の歳入収支が
過去2年の平均値であると仮定して、約150億ドル
(第1四半期は340億ドルの赤字、第2四半期は190億ドルの黒字)で
半期だと小幅な赤字に転落する可能性が高くなっています。
1998年に中国が四半期データを発表して以来、中国が
半年ベースで始めて経常赤字を出すことになります。
中国が赤字に転落した理由は
経常収支が赤字になる理由は、以下の構造的傾向により
拍車がかかっているようです。
ひとつは、特に第3階層の都市で、急成長を遂げている
不動産市場の活況によって富裕層が増加し、
消費のグレードが上がったことです。すなわち、外国製品を
買う消費者がふえたことです。
そしてもう一つの理由は、中国が労働集約型製品において
他の低所得国との競争力を失ったため、輸出の伸びが
悪くなっていることです。中国は貿易戦争を避けるために
輸入を促進しようとしているため、現在のように貿易緊張
が高まっていることは、今後数年間で経常収支に圧力を
かける可能性が高くなっています。
今後の経常収支見通しは
貿易戦争が中国の経常収支に目に見える形で
まだこの半期に影響していませんが、特にトランプが
すでに実施しているよりも多くの関税を課した場合には、
下半期と2019にかけて輸出の下押し圧力が強まることが
予想されます。輸出の下向きの圧力に加えて、
中国は貿易緊張を緩和するために輸入を促進しようとしているので
その結果、貿易黒字は今後数年で縮小することが予想されます。
中国の経常収支は、2018年、2019年、2020年に、
GDPの0.6%、0.3%、0%に低下すると予測されています。
今後のUSDCNY相場への影響は
中国の経常収支黒字から赤字へ転落する影響は深刻である
とおもわれます。これは、海外の資本への依存が強まり、
資本取引がより解放され、結果としてUSDCHNは
ドル高CHN安になることが考えられます。
また、資本取引操作の選択肢がより狭まることも考え
られます。一言で言えば、中国が新しいアメリカになっている
ことを意味し、CHNは赤字をファイナンスする経常赤字
国家の通貨としてますます見られるようになると
思われます。