
中国のトリレンマ、通貨切り下げと外貨準備高減少の矛盾について
やはり、G20の議題は中国に集中したようです。
中国人民銀行総裁も中国のバブルがはじけたと発言するなど、中国の混乱ぶりを
象徴するような当局者の本音も漏れ伝わってきています。
そこで、8月の世界的な株価暴落のきっかけとなった中国の通貨切り下げと外貨準備に
ついてです。
中国は通貨切り下げを発表して以降、最近は若干の軌道修正をはかり、人民元買ドル売り介入
と人民元の売り規制、そして外貨準備を減らして、介入を行っています。
その中国の外貨準備高について、不明な点が多く、その点について指摘したいとおもいます。
中国人民銀行によると、中国の外貨準備高は2014年には約4兆ドルに達していたとされて
いますが15年6月時点では3兆6500億ドルに減少しました。
6ヶ月間で1割減少したことになります。
人民銀行によると金の準備高は約592億ドルで、約1658トンだった。
外貨準備に占める金の割合はたった1.6%です。
中国が金の保有高を公表したのは2009年以来で、6年間で約6倍に増加しています。
日本の場合は保有する外貨のほとんどは米国債購入に当てられ、約2%はODAなどで
運用されています。
日本の外貨準備は1兆2453億ドルで、米国債保有高は1兆2244億ドルなので、
ほとんど全額米国債を買ったと言えます。
一方で、中国の外貨準備高は15年3月末に3兆7300億ドルで、
そのうち米国債保有残高は1兆2237億ドルでした。
金の準備高約592億ドルを足してもまだ、約2兆5660億ドル不足することになります。
この2兆5000億以上にのぼる外貨準備とされう内訳については公表されていません。
その不明な外貨準備は資源投資などに使われているとされていますが、
それも疑問点がたくさんあります。
中国の対外純資産は約100兆円超で、内訳は対外資産約400兆円、
対外債務が約300兆円とされています。
300兆円の借金があるのは意外ですが、外国企業や国が中国に投資すると
「債務」となるので、中国は海外からの投資にかなり依存している構図となります。
逆に中国が外国に投資すれば中国の資産に含められます。
実際、外貨準備は為替介入によって発生します。経常黒字で輸出が多くなりすぎたので、
ドル買い介入するのです。日本も同じ構図でドルの外貨準備が増えていきました。
こういう状況では、対外純資産が外貨準備より多くなるのが当たり前なのに、
中国のように純資産が準備高の1/3になっている矛盾がおきています。
これはお金が無いのに借金して外貨を買っている状態を示しているのと同じです。
日本は対外純資産400兆円以上あり、そのうち150兆円を外貨準備として
保有しています。
一方で、中国は対外純資産100兆円で、外貨準備400兆円なので、経済的にありえない
状況だと指摘されています。
中国の外貨準備高ひとつとっても本当のところがまったくわからないのが実情です。
今回のG20では、こうした中国の不透明な情報についても、議題となり、世界中が不安
が集中する大きな要因の一つのようです。
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