世界経済ファンダメンタルズの見方が偏りすぎる状況は危険?
市場の一般的な経済ファンダメンタルズの見方は
引き続き低インフレと世界的な経済成長が続いている
ということです。
そして、FEDは今月のFOMCで利上げを決定する可能性が
高く、またバランスシートの縮小についても
近いうちに発表されようとしています。
ECBは量的緩和からの出口論を始めようとしています。
日銀は、労働市場がタイトになりつつあることに
直面しつつあります。
ファンダメンタルズ申し分ない?
それぞれの月で14の経済部門マクロに焦点
をあてると、消費支出、雇用、そして資本支出は
5月も上昇し、指数化した景気動向指数は+10
となっています。これは、今まで最も高い内容
です。そして、これは、景気が最もちょうどいい
状況を示しているといのが市場の見方です。
PMIについて、ピークから下回ったものありますが、
それは、コントロール可能な範囲であるというのが
コンセンサスです。
5月の雇用統計は、よくもなく悪くもない結果でした。
雇用者数は138000人でしたが、先月の数字が
−66000人下方修正されました。
一方で失業率は、4.3%に低下、労働参加率は−0.2%
下落し62.7%に、また広義のU6失業率も完全雇用状態
に近い8.4%に下落しています。
5月のベージュブックによると、ほとんどの地区の
連邦準備銀行は、4月の初旬から、適度なペースで
順調に拡大しているとレポートしています。
一方でインフレについては、前月と変わらず、インフレ
圧力もなく、4月のコアPCE指数は、前年比1.5%と
よくもなく悪くもない適度な上昇でした。
米国の住宅ローンの需要は、不動産の累積需要が引き続き高い
なかで、また個人も住宅に対しての需要が高まっている
状況でなかで、好調さを維持しています。
政治的リスクを軽視している?
政治的なリスクは依然としてあります。選挙を控えてイタリアの
債券は売られました。北朝鮮の問題も引き続き予測し難い
状況です。最近ロンドンで起きている様々なテロについても
影を落としてきました。6月8日は政治的にとても重要な
日で、前FBI長官の証言、イギリスの総選挙、ECB理事会
と重要なイベントが重なります。
オイル価格の低調な動きは依然とてリスクです。信用不安が
ない中で低調な動きが続いています。サウジアラムコのIPO
も注意を払う必要がありそうです。
市場は偏ったファンダメンタルズ重視
政治的懸念よりも、ファンダメンタルズのよさが依然として
焦点があてられ、適度なインフレ状況のなか好調な現在の
基調が継続すると見ている投資家が現在多いようです。
ドル円相場も、このファンダメンタルズの見方から
ドル買いポジションが累積しているように見えますが、
果たして大丈夫なのでしょうか?
現在の市場は、政治的リスクを軽視している要素
もあり、こういう時こそ、為替では円高に大きくふれる
ことにも注意が必要であると思います。