ルペン女史が大統領になった場合Frexitとユーロの動向はどうなる?
市場ではフランス大統領選、ルペン女史が大統領になる可能性
を懸念しています。
とくにフランスがEUから離脱する可能性についてです。
今回はルペン女史が大統領になった場合のFrexitの可能性
について調べてみました。
議会を握っていないルペン氏の限界
ルペン女史が大統領に当選したとしても、ルペン氏は
政権運営に向けて議会からの支持取り付けが必要に
なります。首相と閣僚は大統領が指名することができますが、
議会の承認が要ります。ルペン氏にとって問題なのは、
FNは議席数577の国民議会(下院)で2議席、348議席の上院でも
2議席しか確保していないことです。選挙に打って出ることも、
6月に予定されている下院選まで待つことも可能ですが、再び
2回で行われる選挙システムが立ちはだかり議席数大幅増の
公算は極めて低いのが現状です。
議会ではEU離脱は少数派
ルペン氏は議会での多数派工作の必要性を理解して
いますが、その場合、親EU政党との
間での妥協とユーロ懐疑的なスタンスの軟化を迫られます。
ルペン氏は議会多数派との間で「コアビタシオン」の状況を
選択することも可能もあります。
ルペン氏の公約
ルペン氏は選挙戦で、当選すればEU当局との交渉を開始し、
半年後にEU離脱の是非を問う当国民投票を行うと公約しています。
技術的には就任した日から交渉開始は可能ですが、これは、シェンゲン
協定から離れ、新たな通貨を導入することを意味します。
内政とEUの双方から追い詰められ、ルペン氏が一段と急進的な
要求への挑戦を諦めざる負えない状況に陥りそうです。
国民投票はさらに先になる
フランスでEU離脱の是非を問う国民投票が実施されるとしても、
年末まではありません。大統領は一定の条件の下で国民投票を
行う権限を与えられていますが、創設メンバーの一角として
フランスでは依然として親EU感情が強いです。昨年、英国の
EU離脱が決まった直後の世論調査では、64%が離脱
に反対と回答しています。
フランスは憲法改正が必要となる
国民投票でEU離脱が決まった場合、ルペン氏はリスボン条約50条を
発動し、英国の後を追って数年にわたる厳しい交渉を行うことになりますが、
EU離脱にはフランス憲法の改正が必要で、それには政府と議会上下両院に
よる承認が必要です。いざとなれば、ルペン氏は憲法11条を利用し議会
の承認を得ずに国民投票にかけることも可能ですが、こうした動きは結局、
憲法をめぐる裁判に行き着く公算が大きく、EU離脱へのプロセスは
一段と遅れる可能性が高いです。
EURの動向はどうなる
結局、ルペン氏が大統領になったとしても、EU離脱に向けての
ハードルは高く、その可能性は限りなく低いと考えれます。
となれば、ユーロの影響としては、昨年Brexit直後のポンド相場
のように、ショートカバーでユーロが上昇する可能性も
想定できます。
選挙当日まで警戒感からユーロの地合いは重いですが、その後
はポジションの買戻しが起こることも想定しています。