ラッセル2000小型株指数がS&P500をアウトパフォームしている理由は?
最近、時価総額が小さい小型株が投資家に選好されて
います。その背景には、いくつかのもっともな理由がある
ようですが、特に以下の背景があるようです。
小型株が好まれる理由は?
今年に入ってから小型株が好調です。
年初来ではラッセル2000指数が5.9%、S&P小型株600種指数が
7%の上昇となっています。これに対して大型株のベンチマーク
であるS&P500種指数の上昇率は1.5%にとどまっています。
小型株がアウトパフォームしている理由は、小型株は国内志向が
より強いので、法人減税による恩恵が大型株よりも大きくなって
います。同様に最近のドルの上昇からも恩恵を受ける立場にります。
一方で多国籍企業にとってドル建てでの海外収益の低下を意味し、
いっぽうで、内需型企業にとっては輸入コストの低下となります。
また最近の経済指標でも海外より国内の方が好調です。
国内大型株に特殊な事情が
こうした正当な理由がある一方で、株価指数の中身を
具体的に見てみると、他にも事情があります。例えば、
米小売り大手 ウォルマート 、米通信大手 AT&T 、
米ケーブルテレビ(CATV)大手 コムキャスト 、
米銀大手 ウェルズ・ファーゴ といったS&P500種指数の足
を引っ張っている超大型株はおおむね内需型であるので、
小型株と同様の恩恵を受けてしかるべきですが、
そうした企業はどれも、その企業や業界に固有の問題で
打撃を受けています。
株価指数の構成割合についても考える必要があります。
例えば、S&P600種指数のヘルスケアセクターは年初来
で27%近くも上昇しているが、S&P500種指数の同セクターの
上昇率は1%未満です。
こうした差はどこからくるのかといえば、S&P600指数
やラッセル2000指数のヘルスケアセクターにはバイオ
関連銘柄が多く含まれています。そうした銘柄の多くは
買収ターゲットになるという見通しもあり、年初から
値を上げてきました。その一方でS&P500種指数の
ヘルスケアセクターに多いのは、低成長に苦しみ、
バイオ関連会社の買収を模索しているとみられる
大手製薬会社です。
まとめ〜今後の動向は?
小型株にとって市場環境はどうかといえば、昨年には
減税への期待感から大型株が大きく値を上げました。
一方で小型株はそれほどでもなかったため、小型株には、
減税の恩恵を受ける余地がまだ残っているようです。
一般的に小型株が好調な状況は、市場全体にとって
良いサインと言われています。
小型株主導のマーケットはリスクオンの市場になりやすい
ともいわれ、その意味でもドル円でもドル高になりやすい
状況がまだ続くと思います。