ユーロは依然としてイタリアの銀行問題で爆弾を抱えている?
週明けのユーロの為替相場は、ショートカバー的に
ユーロドルでは、1.06台半ばまで戻しました。
週明けの市場で、モンテ・パスキ等のイタリアの
銀行株が反発したことにより、ユーロも戻した
ように見えます。
しかしながら、この問題はまだまだ楽観視できない
ようです。
ECBからは期間延長を拒否される
欧州規制当局が年末の完了期限の延長を拒否しました。
一度認めてもさらなる延長要請がないという保証はなく、
その一方でモンテ・パスキ以外のイタリア銀の問題を
悪化させてしまうと懸念したためと思われます。
目下の疑問は、モンテ・パスキに増資を完了させるだけ
の時間があるのかということです。
できない場合に同行の劣後債投資家や他のイタリア銀には
どのような影響が及ぶかがまだ市場で織り込んでいない
ことです。イタリアの銀行最大手ウニクレディトは、
最大130億ユーロの資本調達計画を13日に発表すると
みられています。
政府系ファンドが増資に応じる?
カタールや米国のファンドをはじめとする大型投資家に
モンテ・パスキの株式売却支援を促せるほど安定した
印象の新政権が発足する可能性は小さいです。
イタリアではこの週末、暫定政権の樹立に向けて一定の
進展が見られました。モンテ・パスキもこれに対し、
増資の手段としてデット・エクイティ・スワップを再び提示
する方針を明らかにしています。より多くの債券保有者が
応じれば、これにより、株式売却の支援が期待される
大型投資家の信頼感は高まる可能性がりますが、最終的に何らかの
公的資金注入が行われる可能性はまだ十分にあります。
銀行の破綻処理方法に関する欧州の新規則により、既存株主
や劣後債保有者に多額の損失を負わせることなく公的資金を
利用することはほぼ不可能となっています。
問題は、モンテ・パスキの劣後債の約半分を個人投資家、
言い換えるなら有権者が保有していることにあります。
レンツィ氏を含む政治家がこの事実への対処を渋ったことも
あり、同行はこうした窮状に追い込まれています。
問題は法律にありますが、モンテ・パスキが救済を余儀なくさ
れる可能性は高まったとの見方から、奇妙なことに昨日は
イタリアの銀行株は買われました。
法律が整備されていないまま、公的資金を前提にしての
昨晩のユーロの買い戻しは、やはり一時的と見たほうが
よさそうです。
FOMCを前にしたショートカバーはまだ入る可能性は
ありますが、ユーロの戻り売りスタンスを維持したいと
思います。