ヤルデニリサーチが警告する2020年のファンダメンタル株式指数乖離とドル円相場見通しへの影響は?
ウォール街で有名なマーケットストラテジストのひとりであるのが
ヤルデニリサーチのエド・ヤルデニ氏ですが、当初ヤルデニ氏は
米国株式市場S&P500は、2020年の終盤にメルトアップして3500ドル
に到達すると予想していました。しかしながら、現在の株式市場は
すでにその域に到達しようとしています。そんな状況のなかで
エド・ヤルデニ氏は警告を発していますが、その根拠となっている
ヤルデリ・ファンダメンタル株式指数がの動きがあり、今回はこの動き
について紹介してみたいと思います。
エド・ヤルデニ氏が警告していることは
ヤルデニリサーチのエド・ヤルデニ氏は、もともと株式市場の上昇
を予想していますが、それは、2020年の末にかけてS&P500
は3500ドルに到達するであろうと予想しています。それが
すでにS&Pは3200ドルを超えてきており、スピードについて
懸念しているようです。
ヤルデニ氏が懸念しているのは、株式上昇のスピードが速すぎて
また誰もそれについて懸念していないということです。
ヤルデニ氏は、2019年の10月の段階で、市場はすでに割高であり
今後は新興国市場に余地があると予想しています。数か月前
にヤルデニ氏は、ここから8%上昇の3500ドルをターゲットに
おいていますが、11月には、米国株式市場の価値はすでにその域
に達していると警告しはじめています。
ヤルデニ・ファンダメンタル株式指数が示唆していることは
ヤルデニ氏が警告する、米国株式市場の上昇が速すぎる
という根拠には、彼らが作成しているファンメンタル指数が
あります。この指標が示唆していることは、すでに株式市場は
陶酔状態であることを示唆しているとのことです。
その根拠として、S&P500とファンダメンタル指数との
間に乖離が生じているのです。
↑のグラフが示しているように、ここ数か月はS&P500と
ヤルデニファンダメンタル株式市場指数との間で乖離、すなわち
方向性が違った方向に動いています。
なぜ乖離が生じているのか
なぜこの数か月、ヤルデニファンダメンタルズ指数と株式市場との
間で乖離が生じているのか?
その理由はFEDが金融政策を緩和を始めたことです。
↑のグラフは左側がFedのバランスシートの増減とS&P500
の週間の動きを比較したものです。
これをみれば、比例した動きをしていることが
わかります。Fedは量的緩和を開始しているわけでは
ないですが、利下げを今年の後半に3回にわたって行い
それが、株式市場を持ち上げている結果となっている
ことがこのグラフでわかります。
一方で右のグラフが示唆しているように、米国のファンダメンタルズ
は左肩下がりなのに、株式市場との乖離が生じている
のです。
ドル円相場との相関関係は?
(チャート:楽天証券)
↑はこの1年のドル円相場ですが、米国株式市場の動きとかなり
似た動きとなっています。ということは、株式市場がリスクオン的
な動きとなると、ドル円も徐々に上昇する展開となります。
現在のドル円相場は、徐々に切りあがっていくような相場展開
ですが、一方で上昇基調も勢いがない相場のような印象があります。
現状は青色の移動平均線がサポートの役割を果たしているように
見えますが、息切れしそうな勢いのなさも感じ取れます。
それは、やはり、現在の株式市場の上昇に、ヤルデニ・ファンダメンタル指数
のように、肝心な経済のファンダメンタルズと乖離しているからかも
しれません。現在のドル円がリスクオン相場に支えられていると
するのならば、ヤルデニ氏が警告している、陶酔状態的な株式市場の
調整に対して反応する可能性も高いと思われます。すでにファンダメンタル
株式指数との乖離が生じている状況のなかで、ドル円の上昇を信じるというのは
少し危険なように思われます。そしてドル円は、政治的影響、とくに
トランプ大統領との貿易交渉に影響を受けやすいので、2020年大統領選
が年に、すんなりと今の上昇基調が継続するとは考えにくいと予想します。
まとめ
株式市場について、ブル派の予想をたてていた、ヤルデニリサーチの
エド・ヤルデニ氏が、この株式市場の上昇のスピードに警告を鳴らし
はじめたのは、ファンダメンタルズとの乖離が顕著になりはじめて
いるからです。ということは、米国の緩和的金融政策に支えられている
現在の株式市場について、その勢いは脆弱であると判断しているようです。
その意味において、ドル円市場もこれに比例した動きをここ昨今続けて
いるので、ドルロングにも警戒をするべきだというのが、今回の個人的
な結論です。2020年のドル円相場も一筋縄ではいかなそうです。