モンテ・パスキの次はウニクレディット?懸念があるもののユーロはショートカバー
イタリアで4日行われた憲法改正の是非を問う国民投票で
反対が賛成を大きく上回り、レンツィ首相が辞意を表明
しました。同時に目先の政治的不透明感が高まり、苦境に立つ
銀行業界の立て直しに向けた取り組みが複雑化する懸念
も台頭してきました。
イタリア議会では暫定首相が指名されれば来年に
総選挙が行われる可能性が高まっています。
心配なのはモンテ・パスキの資本調達の動き
投資家は特に大きな問題を抱えたモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ
(モンテ・パスキ)の動きに注目しています。
総資産でイタリア3位のモンテ・パスキは、今夏の欧州の銀行
ストレステストで実質的に不合格となった唯一の銀行です。
年内に50億ユーロ(約6100億円)の増資ができなければ、
何らかの公的支援が必要となる可能性があります。しかし新しい
EU規則により、政府の銀行支援は複雑になるとみられています。
重要な増資計画の一環として、先週2日には約10億ユーロ相当の
デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)で劣後債保有者
と合意しています。
ウニクレディットにも波及する恐れも
モンテ・パスキで問題が生じれば、国内銀行最大手ウニクレディト
の増資計画も難しくなる懸念も生じています。ウニクレディトは
財務基盤強化のため130億ユーロの増資と200億ユーロの不良債権処理
を目指しています。
しかし一部では、今の政情不安と銀行の健全性を強く結びつけるの
は行き過ぎとの見方もあります。イタリアの銀行は国民投票の
ずっと前から問題を抱えていたことを考えると、問題なのは、
今度指名される首相に求心力があるかどうかが、今後のユーロ
の動向に影響を与えそうです。
昨晩のユーロのショートカバーは、選挙結果よりも、今後の
動向を見極めたいとする参加者のショートカバーをさそった
ものように見えます。
年末にむけてレンジ相場から抜けきれない展開になりそうです。