モンゴル自治区包商銀行を筆頭とする中国地方銀行の不良債権の実態と人民元円相場の見通しは?
中国当局が倒産の危機の直面していた銀行の救済に動きました。
モンゴル自治区の包商銀行は、不祥事に見舞われ、破綻の危機
に直面していた地方銀行です。
中国当局は、公的管理下に置くことにより、不祥事に見舞われた
地方銀行の破綻でさえ看過しないという方針を強く示した格好
となりました。
包商銀行をとりまくスキャンダルは?
包商銀行の件は、同行の派手な来歴ゆえに関心を集めています。
筆頭株主にして主要な借り手である金融グループ、トゥモロ─・ホールディングスを
経営していた富豪の肖建華氏は、2017年に香港のホテルから失踪しました。
同グループの資産は今、売却中で解体中といってもいい状態です。
中国には破綻寸前の地銀がいくらでもあるが、包商銀は経営が特に危ない
といわれていました。包商銀行は昨年公表した報告書で、Tier1資本比率が
8%を切って国内最悪水準となっている3行の1つになっていました。
中国の金融機関不良債権の実態は
今年Q1の中国の銀行資産に占める都市銀行の割合は13%です。
一方で地方銀行は7%にとどまるものの、抱える金融リスクという点では
地方銀行の比率が際立っています。国有大手銀行が政府保証のついた
最優良顧客を確保しているため、地方銀行はそれ以外の信用の低い
資産をもつしかなかったのです。
結局、損失隠しのための工作がなされてきました。2018年、
上海浦東発展銀行は不良債権を隠すために1493社もの
ペーパーカンパニーを使ったとして罰金を科されました。
そして大連銀行は何度となく救済をすでに受けています。
中国の金融機関救済策とは
中国政府は15年に預金保護制度を導入しました。これにより、理論上は
銀行が破綻しても一般預金者に被害が及ばなくなるしくみをつくっていますが
制度の整備はまでできていません。それは、預金保険機構の資金
がわずかしかないのです。
昨年9月時点で預金保険の資金はわずか120億ドルで救済資金には程遠い額です。
また今年3月時点でもまだ、制度の執行にあたる当局の設立もできていません。
中国当局内部ではM&Aによる中国金融機関の再編の方が望ましいとの意見も
強いようです。
人民元円相場の見通しは
↑のチャートは人民元の対円相場のチャートです。
見てわかるとおり、人民元の動きは大きな流れで
人民元安です。対円ではここ最近のレンジ相場
のサポートラインが下にブレイクし始めています。
これは中国の対米国との貿易問題が大きく影響を
されていると思われますが対円相場でも、再び
人民元安トレンドがはじまろうとチャート上では
しているように見えます。
レンジ相場が長きにわたっていた後だけにこの下値
ブレイクは重視すべきかもしれないと思っています。
まとめ
包商銀行については、国内で最も資本が強固な中国建設銀行
が日々の業務運営に手を貸していおり、最終的には中国建設銀行の
傘下にはいるのかもしれません。
とはいえ建設銀などの国有大手銀は、内モンゴルの銀行を慈善事業的に
吸収するより、勢いのある省のフィンテックに長けた地銀を買収したい
のが本音です。規制当局としても、健全な銀行に不良債権を引き受け
させれば、減速する景気を支えるための貸し出しが阻まれるという懸念
も台頭しています。
中国人民銀行は26日、当局の管理下に置かれる内モンゴル自治区の
包商銀行に流動性を供給すると発表し、企業預金の元本および利息と、
5000万元未満の銀行間の負債をすべて保証すると
表明しました。このことはすなわち、国家負債が増えることになり
これが健全な策といえるのか、疑問も多くあがってきています。
中国は対外的には貿易問題と国内では、地方銀行の不良債権問題
と板挟みにあっています。
このような背景を考えると、人民元の下落余地はまだこれからの
ような気がします。