ミンスキー・モーメントが近い将来中国で起きる可能性と問題のマージンデッドとの関係は!?
ミンスキーモーメントとは、経済学者ハイマン・ミンスキーが
提唱した論理ですが、現在その兆候が現れているという
見方が出てきています。
目次
ミンスキー・モーメントとはなに?
ミンスキー・モーメントという単語が登場することがありますが
これは、起きてほしくない現象です。一言でいえば
バブルが崩壊に転じる局面のことです。
ミンスキー・モーメントは、ハイマン・ミンスキー
にちなんで名付けられた専門用語ですが、形成されたバブルが崩壊
に転じる瞬間(あるいは局面)を指す言葉です。
いうなれば、バブル崩壊という意味です。
思い出すのは、サブプライム・ローンが世界的な危機を招いた
アメリカのバブル崩壊が2008年に起きました。
そして日本では、不動産の異常な高騰が招いた日本のバブルの
ミンスキー・モーメントは1990年台に起きました。
ハイマン・ミンスキーが唱えたポイントは
ハイマン・ミンスキーが唱えているポイントは、資産バブルは
銀行が信用を過剰に提供することによって起きることを
指摘しています。
ミンスキー・モーメントは、投資家が保有する
あまり投機的でないポジションさえも債務支払のために売却する必要に迫られ、
マーケットで価格下落スパイラルと深刻な貨幣需要が生じる瞬間をいいます。
これは、バブル的な信用膨張に支えられていた経済において、
長く隠れていたリスクが突然顕在化し、慌てふためいた投資家による
資産の投げ売りがマーケットの暴落を誘発する瞬間を指します。
このことは、雇用市場での労働者と経営者との関係よりも
より経済に影響を及ぼすファクターであると唱えています。
ハイマン・ミンスキーは異例ともいえる、市場の上昇基調が
長く続けば続くほどのこの信用過剰によるリスクが高まっている
と唱えています。
↑の図はフリーキャッシュバランスとアメリカの株価のインデックスである
S&P500の動きの関連性を示していますが、赤の棒グラフが示しているのは
ネガティブなキャッシュポジションを示しています。
現在はネガティブなキャッシュポジションが増えているにも関わらず
株価は上昇を続けている状況を示しています。
これは過剰にお金を借りて、リスク資産に投資している状況を示して
いるのです。
マージンデッドが異常に増えている状況が危険!?
マージンデッドとは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)が
公表している指標ですが、わかりやすくいえば、証拠金債務
という意味です。もっとわかりやすく言えば 、投資家が株を
購入するために銀行などから借り入れている金額のことを示し
ます。そのマージンデッドと株価の関係を示したのが
↓です。
青の棒グラフがマージンデッドの増加具合を示し、オレンジの
ラインが米国の株価の動きを示しています。
マージンデッドの残高は2018年にFEDが利上げ政策に
転じた時に若干減少しましたが、その後金融政策
の転換をし、また上昇しています。そして問題なのが
この水準があの2007年、1999年時の水準を
大きく超えてきていることです。
マージンデッドが増えている初期においては、リスク資産の
上昇がみられるのは、論理的でありますが、この現象が後期
になると、逆のリスクの高まりが芽生えてきます。
過去のFEDの金融政策との関係は
過去の動きから参考になるのは、短期金利と2年の
金利の動きの関係が参考になります。
FEDが金融政策の転換をし、2年債利回りよりも短期金利
が上昇に転じた時は、一気にレセッションのリスクが
高まっているのが、過去の例からわかります。
↑のグラフは青のラインが2年国債の利回りの動きと、オレンジが
FEDファンドレートの動きを示しています。この二つの金利の水準が
逆転しているときに、過去リセッションの可能性が高まっています。
今回はその現象が起き始めており、それによって、リスク資産の動き
がどうなるのか注意が必要だと思われます。
まとめ~中国で起きているリスクは
ミンスキー・モーメントの原点は、ミンスキー・クライシスと
言われることもあります。
1998年のロシア財政危機を説明する際に、米国の
エコノミストのポール・マカリーによって造り出されました。
経済成長の局面では普通「債務」の増加を伴いますが
これは、企業であて個人であれ、債務を背負って資産形成を行うこと
を示しています。
これがきちんとバランスしているなら問題は起こりませんが、肝心の
経済活動、すなわち企業においては業績が伴わなくなると
一気にその崩壊がやってくるというのがこの理論です。
日本でもアメリカでも不動産への過剰なお金の流入が起こり、
不動産価値の異常な高騰となりましたが、今回不安なのが
とくに中国です。
この過剰な固定資産形成は、やがて資産価値の下落に向かう局面が
やってきます。資産価値が減り、自己資本が減少した企業・個人が資産の
売却を始めると、それが大量の「売り」につながり、
資産価値はなだれを打って急落することになります。これがミンスキー・
モーメントの論理ですが、個人的に思うのは、今中国で起きている
マクロ的にもまた、コロナウィルスによってさらに悪化している経済
活動がこれにつながらないか懸念するところです。