マリオ・ドラギECB総裁がテーパリングを示唆しなかった理由とは
市場はECBが金融政策を転換するポイントを見極めようと
してマリオ・ドラギ総裁の会見を注目していましたが、
マリオ・ドラギ総裁は27日、態度を明確にしませんでした。
ドラギ総裁はハト派を貫く
ドラギ総裁はユーロ圏の超金融緩和政策の解除にはまだ程遠い
ことを示唆しました。
解除への第一歩は、ECBがこれ以上、何かする必要はないことを認める
ことですが、同行は現状維持を決め、マイナス金利を続けるとともに
必要に応じて債券をさらに買い入れるという超緩和的な姿勢を崩すことは
ありませんでした。
市場はテーパリングを意識をしている?
だが債券買い入れの必要性はますます薄れているように見えます。
欧州委員会が27日に発表した4月のユーロ圏景況感指数は10年ぶりの高水準
に達するなど、域内の景気回復も底堅さを見せています。
ECBのユーロ圏の経済成長見通しは着実に明るくなっていますが、
まだいくばくかの懸念が残っています。ドラギ総裁は27日、経済成長
に対する「リスクバランスは均衡に向かっているが、依然として下振れ
方向に傾いている」と慎重な姿勢を維持しています。
インフレは低迷したまま
政策担当者はコモディティー価格主導のインフレ率の回復が一時的な
ものではないという確証を必要としており、インフレ見通しは据え置かれた
ままだとなっています。3月に1.5%に低下したユーロ圏の総合インフレ率
は4月に持ち直しそうだが、エネルギー、食品、アルコール飲料、たばこを
除いたコアインフレ率は低迷が続いています。
ECBが市場の引き締め混乱を避けたい
政策転換に関して何か示唆すると、それだけで打撃となるような
金融引き締めが起きてしまうという不安を市場に与えてしまう
ことです。
FRBが2013年に誘発したテーパリングが市場にインパクトを
与えたので、より政策転換には慎重になっていると思われます。
一方でECBは市場のリスクを減らしたいと考えおり、そのタイミング
とバランスについていまだコンセンサスが取れていないことが
読み取れます。
しかしながら、ユーロ圏の景気回復が進むにつれ、どのタイミング
でテーパリングを発表するのか模索中のようです。