マッテオサルビー二副首相の策略によるイタリア政局とユーロ円相場の見通しは!?
イタリアの政局が正念場をむかえています。
イタリアのコンテ首相が辞意を表明したため
連立政権が崩壊に向かっているのです。
コンテ氏は議会上院での演説で、
同盟を率いるサルビーニ副首相が自身や党の利益を優先させ、
連立政権を崩壊に導いたと強く非難して辞任を発表
しました。
マッテオ・サルビー二率いる極右政党「同盟」とは
反EU、反移民を掲げるイタリアの政党「同盟」は、
先の欧州議会選挙でも大躍進しました。その指導者
マッテオ・サルヴィーニ氏は、今の連立政権副首相の座にとどまらず、
ヨーロッパ主要国で最も政権に近い右翼ポピュリストと言われて
います。要するに、イタリア政局のキーパーソンだけでなく
EUの行方を占う人物だといっても過言ではありません。
サルビーニ副首相はヨーロッパ政界の台風の目となっており
この新しいカリスマ的な存在にもなっているのです。
イタリアの政局で起こっていることは
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— Matteo Salvini (@matteosalvinimi) August 21, 2019
サルビーニ氏は反体制政党「五つ星運動」との連立は崩壊していると主張し、
総選挙の実施を要求しています。それは現在の極右政党への支持が
広がっていることを見越しての行動です。しかしながら、サルビーニ氏の策略は
失敗に終わる可能性もあります。五つ星は中道左派の野党・民主党(PD)
との連立政権樹立を視野に協議を開始しているのです。
この連立がもし実現すれば、サルビーニ率いる同盟は野党となり、
中道寄りの親欧州連合(EU)政権が誕生することになるのです。
ただ、五つ星運動と民主党は水と油のような関係で意見の食い違い
が見られます。にも関わらず、この連立が実現する可能性は
コンテ氏は議会演説で主張しているように、サルビーニ副首相が
高い支持率を利用して「自分自身や党の利益ばかりを追求してきた」
ことに嫌気をもたらし、総選挙阻止のために連立に動くというシナリオ
です。コンテ首相は「サルビーニ副首相は、議会を軽視し、国を政治的
不確実性と財政不安に陥れた責任がある」と強く非難しています。
イタリア政局とユーロ円相場の見通しは
コンテ首相の辞任をうけて、連立政権を模索するために
21日から各政党と協議を行うと表明しています。
もし連立政権を発足できなければ、サルビーニ副首相の狙いどおり
大統領は予定より3年半前倒しで議会解散に踏み切り、
今秋にも総選挙が実施される可能性が出てくるのです。
そうしたイタリア政局を背景としてユーロドル相場の
見通しは?
(チャート:楽天証券)
↑はここ5年のユーロ円のチャートですが、2018年からは、きれいな
ダウンチャンネルにはいっています。
ユーロは経済ファンダメンタルズの悪化でドイツを筆頭にマイナス金利
が浸透しています。そこにイタリアの政局の不透明感が追い打ちを
かけユーロ売り圧力が対円でも強まっています。
ユーロ円は、2016年につけた安値110円をターゲットにして
いるようです。ただ円のファンダメンタルズもユーロとさほど
変わりないくらい悪化しており、この2通貨は不美人競争の
ようにみえます。
まとめ
今はじまっている五つ星運動と民主党による連立交渉の
行方がユーロ相場に影響していくると思われますが、
もしも中道左派と五つ星運動との連立政権が誕生する
のであれば、当面ユーロ離脱への圧力も含めて
弱まる可能性があり、ユーロ相場にとってはポジティブ
な材料となることが予想されます。一方でマッテオ・サルビーニ
副首相の目論見のようにこの秋にイタリアが総選挙に突入
するのであれば、イタリアだけなくEU全体への不透明感が
ひろがり、ユーロ円は110円を目指すダウンチャンネルが
続くことが想定されます。