ボルカールール規制の変更案が承認されることによる投資銀行への影響は?
ボルカールールという規則をご存知でしょうか。
これは、銀行が、自己勘定でトレーディングすることを
規制するルールで、リーマンショックを教訓にして
銀行が投機的トレーディングをすることを禁止した
ルールです。
FRBは30日開催した理事会で、「ボルカールール」の変更案に
関する採決を行い、全会一致で承認しました。
ボルカールールが制定した背景は
ボルカールールは、金融危機の中で、銀行が投機的市場取引
をすることを防ぐために提案されました。ルールは4年前に施行され、
一般的に銀行が自らの利益のために取引をしたり、
ヘッジファンドやプライベートエクイティファンドの割当を
禁止しています。
金融当局が改正に乗り出す背景には、金融危機の反省に立って
導入されたボルカールールが不明確なうえコストが大きすぎる
との指摘が出ていたためです。ボルカールールでは、銀行は
ヘッジファンドのような投機的な取引が禁じられているが、
顧客の需要に対応するための売買は認められています。
ボルカールールの変更案の内容は
変更案では、米国の大手銀行が今後、ルールに抵触すること
なく、短期の売買をより自由に手掛けることが可能になります。
この提案された変更案では、最もトレーディング行っている銀行
に対しては、包括的なコンプライアンス体制を適用させ、
ボルカールールの要件を調整するものです。
より控えめなトレーディングを行なっている銀行には
要件も緩和されます。
変更案では、トレーダーが反証しない限り、保有期間が
60日未満のポジションはボルカールールに違反するとの
仮定をなくします。これにより、トレーダーには一段の
余地が生まれます。規制当局はこれに代わり、その取引
ポジションが会計規則でどのように定義されているのか
に着目し、また各行のトレーディング業務が、90日以内に
2500万ドルを超える利益か損失を計上することなく、
定められたリスク制限の範囲内で事業を行っているかも点検する
ことになっています。
この変更案によって、実質銀行は、社内でトレーディング制限
などの規定をつくってそれ以内での取引であれば、基本プロップ
トレーディングが許可されるということを意味します。
まとめ〜考えられる投資銀行への影響は
当然、市場のトレーディングボリュームが増える
ことが予想されます。ただこのボルカールールが
よってすでに数多のヘッジファンドが形成され
そこで投機的取引がなされているため。このルール変更
によって銀行が投機目的でどれほど参入してくるかは
疑問です。
このボルカールールの変更は、金融機関に収益機会
を増やすことになると同時に、以前に金融危機がおきた
ように市場を不安定にさせる要因になります。
ただ短期的には、漠然と規制緩和がなされたということで
銀行にとってはポジティブに受け取られる可能性が
高いと思います。