ベネズエラ(マドゥロ政権)がトランプ政権から経済制裁をうける理由と為替への影響は?
南米ベネズエラでキナ臭い動きがではじめています。
国家安全保証担当のジョンボルトン氏は、ホワイトハウスの
ブリーフィングルームでコロンビアに5000人の軍隊を派遣するとの
メモをしたノートを手に抱えて記者団の前に現れました。
市場はいっせいにトランプ政権が、ベネズエラへの軍事介入
へと最終的には動くのではないかとの憶測が強まってきて
います。そこで今回は、アメリカがベネズエラ(マドゥロ政権)
に経済制裁をする理由と為替への影響について考えて
みたいと思います。
ボルトン国家安全保障が示唆した言動は
ボルトンの記者会見での発表は軍隊派遣とは関係のないもの
でしたがその内容は、ベネズエラ国有の石油会社PDVSAに
対する制裁についてでした。AP通信Eが撮った写真のメモに
ついての重要性に質問が及ぶと、ホワイトハウスのスポークスマンは
以下のことを繰り返し述べています。
それは、ただ単に大統領が言っているように、全ての選択肢を
検討中であるとしたうえで、ベネズエラでおきている権力闘争
において米国の軍事介入の可能性も排除していないことを示唆
しています。
この新たな制裁は、マドゥロー政権を弱体化させ、そして
その他の国々も暫定の大統領として容認しているグアイド
暫定新政権を支持するためにあらゆる経済的、外交手段を
使うというトランプ政権の意思を表したものです。
経済制裁の内容とは
ムニューシン財務相はベネズエラ国有会社PDVSAが
グアイド政権を承認するまでは、ベネズエラ産原油を
米国の会社に売却した時の資金がマドゥロ政府に流れる
ことを禁止すると発表した。
マドゥロ氏はこの動きを非難しています。マドゥロ氏は
“トランプは手は血で汚れている”と非難し、PDVSAが
法的手段にうってでることを主張しています。
今後の注目点は
ベネズエラは原油による収益を米国に大きく依存しています。
この国の41%の原油を米国に輸出しており、明らかに
米国の精油所は、ベネズエラの資金源となる数少ない
顧客のひとりです。一方で中国やロシアへの輸出は
何十億ドルに及ぶ負債の返済の一部として使われて
います。
トランプ政権は、もしマドゥロ政権から現金元を奪った場合、
ベネズエラの軍部はマドゥロに対して忠誠心をもつ理由が
なくなるであろうと見ています。
トランプ政権は過去は原油に対して制裁を課すことを避けて
きましたが、それはベネズエラ国民に困窮をもたらし、
また原油価格が上昇して米国企業に悪影響を及ぼすと
懸念していたからです。
この動きは、ベネズエラのマドゥロ氏が繰り返し訴えている
主張をさらに強めることになりそうです。
ベネズエラは米国の陰謀の犠牲者であるという。マドゥロ氏
の主張はここ最近いたるところで繰り返されています。
為替への影響は?
今のところ為替市場は、このベネズエラ情勢を
大きく取り上げていません。
新興国通過も今のところ安定しており、その背景には
南米各国は、アメリカと同様に、グアイド暫定政権
を推しているからです。
ただベネズエラの緊張が高まると原油価格が上昇に
転じる可能性もありますが、全世界の需給関係をみれば
それほどたいしたことのない要因となりそうです。
ドル円市場は、ここ最近110円台を前して膠着状態
ですが、為替はまだアメリカの軍事介入については
気にしていないようです。
もしも軍事介入が起きた場合は、中国、ロシアが
アメリカとは別のスタンスをとっており、マドゥロ政権
を推していることから、世界的な反発を招く懸念も
否めません。その場合はリスクオフの相場となり
為替は円高地合いになりやすい展開となると思います。
まとめ
米国はベネズエラの治安部隊が米国の外交官、大使館そして
グアイド新政権の安全を守る責任を負っていることを
主張しています。もしもこれらのグループに対していかなる
暴力が起きた場合は、法の支配への重大な攻撃であると認識し、
重大な対応とることになるであろう、とボルトン国家安全担当
は述べています。
ボルトン氏は“重大な対応”がなにを意味しているかの
定義について言及することを避けましたが
トランプ大統領はこの問題に関して全ての選択肢がテーブルの上に
のっていることを明確し、軍事オプションも辞さないことを
明確に示唆しています。