プライベートデットファンド(PD)における合同会社(LLC)とAMの役割とNAVの算出方法とは!
アジアでも最近成長を遂げているファンドの中に、プライベートデットファンド
がありますが、その仕組みについては、複雑であるがためにわかりづらい面も
あります。
そこで今回は、プライベートデットファンドにおける、合同会社とアセットマネージャーの
役割につて調べてみました。
PDにおける合同会社 (LLC) の役割

(↑の図は一般的投資信託のしくみ)
LLCはPDファンドの法的器としての利用
LLCは、日本や米国でプライベートデットファンドの設立時によく使用
される事業体です。
ファンドの資産保有や運営のためのビークル(器)として機能します。
PDにおける主な役割
投資資金の受け皿:投資家から集めた資金を管理し、貸付や投資に活用します。
法的責任の限定:
出資者(投資家)は有限責任となるため、投資額を超える損失負担を回避できます。
税務効率:
合同会社はパススルー課税が適用されることが多く、投資家の税負担を最小化できます。
アセットマネージャーの役割
運用・管理の責任者
アセットマネージャーは、ファンドの運用および管理を担当します。
具体的な役割:
投資戦略の策定と実行:
貸付案件の選定、デューデリジェンス、契約交渉などを行います。
リスク管理:
債務不履行リスクや市場変動リスクの管理。
パフォーマンス管理:
投資先からの利息や元本の回収を管理し、投資家への配分を行います。
レポーティング:
投資家への定期的な報告や監査対応を行います。
AMの設立コスト負担の可能性
アセットマネージャーのコスト負担について
一般的にはアセットマネージャーが一部または全額を負担する
ケースがあります。
理由:
スポンサーシップの役割:
アセットマネージャーがファンドの設立と初期運営を主導するため、
スポンサーとしてコストを負担する慣行があります。
信頼性確保:
投資家からの信頼を得るために、アセットマネージャー自身が
設立費用を負担し、運用開始までのリスクをとることがあります。
初期資金の提供:
投資家の資金が集まる前に、法務費用や管理費用(監査、会計事務所など)を
カバーする必要があります。
具体的なコスト例
法務・会計費用:
契約書作成や税務スキーム構築など。
登記費用:
合同会社設立に必要な手続き費用。
マーケティング費用:
投資家募集のための資料作成や広告費用。
システム費用:
レポート作成やデータ管理システムの構築費用。
コストの回収方法
アセットマネージャーは運用報酬 (Management Fee) と
成功報酬 (Performance Fee) を受け取ることで、初期費用の回収を行います。
ファンド運営後は、発生したコストを管理報酬から充当するケースもあります。
合同会社 (LLC) における利益分配の仕組み
合同会社を活用したプライベートデットファンドでは、利益分配は
主に以下の2つの方法で行われます。
定期的な分配金 (インカムゲインの配分)
金利収入の分配:
プライベートデットファンドは、主に貸付金利やローン返済から
得られるキャッシュフローを収益源とします。これを四半期または半期ごと
に分配します。
優先的分配の仕組み:
ほとんどのファンドでは、投資家に対して一定の優先利回り (Preferred Return) を
確保し、その後に残余利益をアセットマネージャーやGP(ゼネラルパートナー)
が成功報酬として受け取る「ウォーターフォール方式」を採用します。
例:
優先分配:投資元本に対して年率6%を投資家に優先配分。
キャッチアップ (Catch-up):残余利益の一部をアセットマネージャーに充当。
キャリー (Carried Interest):最終的な利益の20%などを成功報酬としてマネージャーが取得。
元本償還と最終分配 (キャピタルゲインの配分)
元本償還は、貸付金の回収やファンド終了時の残余資産精算を通じて行われます。
貸付資産の評価額が上昇し売却益が出た場合は、キャピタルゲインとして分配されます。
売却損が生じた場合には、キャピタルロスとして反映されます。
NAV (純資産価値) の算出と課題
プライベートデットファンドのNAV算出は難易度が高く、特に以下
の理由で評価が複雑です。
(1) 流動性の低さ
プライベートデットは上場市場で取引される資産ではなく、
貸付先の信用状況や市場環境によって評価額が大きく変動します。
(2) 評価基準の曖昧さ
ファンド資産は債券に類似していますが、流通市場での価格が
存在しないため、DCF法 (割引キャッシュフロー法) や
市場類似取引価格法 (Market Comparable Method) を用いた評価が必要です。
(3) 公認会計士・評価機関による第三者評価
NAVは通常、年次または四半期ごとに独立した評価機関や
監査法人の評価を受け、投資家に報告されます。
投資家のキャピタルゲイン/ロスの計上
投資家は以下の基準でキャピタルゲインやロスを計上します。
(1) 分配金 (インカムゲイン) の計上
投資家は受け取った分配金を、利息収入または配当収入として会計処理します。
(2) NAV変動によるキャピタルゲイン/ロスの計上
未実現利益または損失:NAVが評価変更された場合、評価益や
損失を会計上の調整として反映します。
実現利益または損失:債権売却時やファンド清算時に、元本との差額を
キャピタルゲインまたはロスとして計上します。
まとめ