ブレークイーブンインフレ率(BEI)とリスクアセット価格と通貨の関係は!
コロナ以降、アセット価格は一時急落したものの
その後は急反発の展開となっています。
これは、FRBが資産の買入を開始して以降
インフレ見通しも同時に強まっていることも
その背景のひとつにあるようです。
今回は、データを、かなり短い期間(15~129日)の間に、
米国の10年物ブレークイーブンが大きく(27~70bps)動いた
期間に分割して、インフレとアセット価格との関係を
ブレークイーブンインフレ率とは
BEI(Break Even Inflation rate)とも呼ばれます。一般的に10年利付債の
流通利回りから10年物価連動債の流通利回りを差し引いた値を指します。
ブレークイーブンインフレ率がプラスで推移しているときは、市場は物価が
上昇すると予測しており、マイナスで推移しているときは
物価が低下すると予測していることを示します。
ブレーク・イーブン・インフレ率とは、同年限の物価連動債と
名目金利債券に投資する際、両者の利回りが等しくなる(break even)
ようなインフレ率を指します。また、名目利回り、実質利回りはともに
市場で取引されるそれぞれの債券価格によって決まるため、
ブレーク・イーブン・インフレ率は、市場が織り込んでいる
期待インフレ率にほぼ等しいと考えることができます。
従って、物価連動債の保有はインフレ率が上昇し、
実質金利が低下する環境において有利になるといえます。
インフレ率とアセット価格との関係は
4つのサンプルは、ブレークイーブンが2%を
下回っていた時期と上昇していた時期に分けて
調べています。
- 2%未満と上昇時の4つインデックスについて
- 2%を超えて上昇している
- 2%を超えて下落
- 2%を下回って下落している。
その後、比較可能性を考慮して、100 日間の米国の損益分岐点レートの 100bp の動きに相当する値にスケールしています。
新興国資産については、インフレ期待の高まりは
輸出価格の上昇にも関連してきます。
インフレ期待値が2%以下の低水準から
上昇し始めると、金融引き締め政策が
台頭してくるため、資産価格に悪影響を
およぼしてきます。これは株式にも当てはまるし、
インドネシアやインドなどのハイイールド債のマージンでも
当てはまることが歴史的に示されています。
逆に、デフレの脅威は特にダメージを与えています。
一般的にはインフレ期待が低く、低下している場合
すなわちデフレ懸念が台頭してくると
ことが最もリスクアセットにとって有害であると
考えられています。
ブレークイーブンインフレ率と通貨との関係は
通貨に関しては、インフレ期待の高まりは、特に低金利である
アジア経済にとって好都合となります。一方で高金利通貨
にとっては、米国債利回りの上昇リスクが
リターンに悪影響をおよぼすリスクが高くなる
関係にあります。
まとめ
ブレークイーブンインフレ率とは、国債利回りから
同期間のインフレ連動債の利回りを引いた値を示し
ます。コロナ後の現在の米国10年国債利回りは
約0.56%ですが、↑のカテゴリーの中に
当てはめると、1に当たると思われる。リスクアセット
の価格は過去の例からみても上昇しやすい状況下
にあるということが言えます。