バンクオブアメリカのCIOが金価格上昇とドルショートに警鐘を鳴らす理由は!?
バンク・オブ・アメリカが2つのテーマ、「大恐慌」と「大暴落」
について興味深い見方をしています。
コロナ後に急落した株価が元の位置に戻る過程のなかで、
ドルの下落と金価格の上昇が著しく顕著になっています。
バンクオブアメリカのCIOであるマイケル・ハートネット氏は
この動きについて興味深い見解をしめしているので
今回はこれについて紹介してみたいと思います。
コロナ後のマーケットの状況は
バンクオブアメリカのマイケル・ハートネットの見解に
よれば、2020年のわずか3ヶ月の間に
8兆ドルに及ぶ中央銀行による資産買い入れが行われ、
金利、社債スプレッド、ボラティリティの動きを押しつぶして
しまいました。この一連の当局によるテコ入れによって
米国の財政赤字が20年第2四半期にGDPの7%から40%に急増しました。
この「負けるわけにはいかない」市場は、第2四半期の伝統的な
弱気の状況が占有していました。それは、民主党候補のバイデン氏が
大統領選に優勢になっていること、グローバル化の終焉、日本化、成長株
に集中している状況が根本的にあるにもかかわらず、このような弱気の
材料は、皮肉にも逆説的に強気の材料へと変化し、時代の流れを根本的に
変えることにもつながっています。バンクオブアメリカのハーネット氏は
「弱気になる唯一の理由は、みんなが弱気の材料がなくなったと思う時」という
格言を思い出させると言っています。そして確かに、最近の市場の動きは
防御的になることを正当化しています。
世界の株式時価総額は89兆ドルから62兆ドルに戻って87兆ドルに往復して
いますが、バンクオブアメリカはそれが 金融状況が正常化していることを意味
していないと分析しています。すなわち リスク資産は夏にむけて再び
下落するリスクを指摘しています。
FRBは現在、信用贈与と貨幣の増産を積極化させていますが
大不況が本格化している今、FRBは同時に大規模な価値の下落を
追求していることを意味すると分析しています。
トレジャリー市場が機能しなくなった
つまり、債券市場がFRBによって国有化され、もはや有益なインフレ
(またはデフレ)シグナルを提供しなくなったために、ディスカウントの質を
持つ資産クラスとして残っているのは金だけだという見解を示しています。
金利抑制によって、投資家は トレジャリーを売ることによって
で11兆ドルの財政刺激策のインフレリスクをヘッジできなくなっている
と指摘しています。その結果として「投資家は “ショート・ドル “と
“ロング・ゴールド “のヘッジに群がる」と指摘しています。
それが現在の金価格の急上昇とドルの下落につながっているとの
分析をしています。
実際、過剰債務、不十分な成長、金融・財政刺激策の限界に達した
米国経済のデフォルトの仮設を前提に、米ドルの下落は進行中です。
しかし、現地通貨の切り下げは他のどこでも進行中であり、
世界の金融当局が3月に米ドルを史上最高値まで急騰させた時より
もさらに大きなドルの売り持ちが集積しているため
世界的なドルのショート・スクイーズのリスクにも晒されています。
次の市場危機はさらに大きなドルの急騰につながることも考えられます。
そのため、ドルをショートして価値の下落をヘッジすることは、
しばらくの間は機能するかもしれませんが、大きな巻き戻しにあう
可能性もあると指摘しています。
そのため、自然なヘッジとして、金のロングを投資家は選んでいるのです。
おそらく金価格は最初に2,000ドルを超えて爆発的に上昇し、次に2,500ドル
そして3,000ドルと上昇を続ければ、その時点で、FRBの不換通貨に対する
コントロールは崩壊することを意味します。
まとめ
ポストコロナのマーケットの動きは、株高、金価格上昇そして
ドル価値の低下という三本立てできていますが、これは一途に
FRBによる、資産購入とトレジャリーの機能を実質失わせて
いることに尽きる、とバンクオブアメリカは指摘してます。
この当局が闇雲に行っている実質的な貨幣増発によっておこる
リスクは、中長期的には、貨幣価値の低下すなわちインフレですが
投資家はそれを見越してか、ドルのショートと同時に金の買い持ち
によって備えていると指摘しています。
しかし、ドルの売り持ちの究極のところまですでに積みあがっており
その巻き戻しのリスクを懸念しているようです。