バルティック・ドライ指数(BDI)とは?現在のチャートが示す危険度と為替市場への影響は!
バルティック・ドライ指数(バルティック海運指数)を
ご存じでしょうか?
その名の通り、「バルチック海運」取引所が定めている指数ですが、
この指数はただ単に海運業の業績の動向を把握
するだけでなく、この指数は世界経済の先行指標として
多くの市場参加者がみている。
目次
バルティック・ドライ指数とは?
バルチック海運指数(通称BDI)は、不定期船の運賃を
指数化したものです。
ロンドンのバルチック海運取引所が1日に1回算出し発表していますが。
世界中の海運会社、商社などから石炭・鉄鉱石・穀物などの貨物を運搬する
船の運賃の情報を集め、算出されています。いうなれば世界の
物流の活発さを示す指標でもあります。
基準値となるのは、1985年1月4日。この時の値を1000とし、日々の指数が
算出されています。
現状の物流関連の動きは
物流関連の株価の動きは先月(1月17日以降特に)コロナウィルスの
影響を懸念して、他のセクションに比べて値を下げましたが、それほど
厳しい下げとは今ののところなっていません。ただ中国やアジア太平洋
地域においての物流関連株は大きく悪影響を受けたようです。しかし
いまのところの動きをみてみると、投資家の間では、コロナウィルスの
影響は早くに収束するとの見方が強まっており、それにより株価全体
が持ち直しているのが現状です。
世界の物流を示す指数は下落基調
ただ物流を示す指数を見てみると、1月17日以降は下落基調を
強めており、とくに海運や陸運はダメージを受けています。
そこで、先ほど示したバルティック・ドライ指数に注目すると
↓のチャートが示すとおり、2019年8月以降からみると
約83%下落しています。
バルティック・ドライ指数の過去最高値は、2008年5月20日
に記録しています。このころは、中国を中心とした新興国の経済成長に
後押しされる市況での数字でした。しかし、同年に起きたリーマンショック
で7急落しています。
過去最低値は、2016年2月に記録しています。
ブルムバーグ世界輸送指数も悪化
↑の表からもわかるように、物流の不振は世界的に広がっています。
航空産業も含めて世界の輸送関連は、株式全体がこの5年で
34%上昇したのに対して、9%しか上昇していないのは
注目すべきポイントだと思います。
バルティック・ドライ指数(BDI)の重要度は
BDIは、世界経済の先行指標のひとつとして認識されています。
バルチック海運指数は世界経済の動きに2カ月先行する、
などと言われることもあります。
なぜバルティック・ドライ指数が世界経済の先行指標になるのかと
いえば、バルチック海運指数が世界の「貿易の活発さ」と関連性の高い
指標であるからです。貿易が活発であることは、経済活動が活発である
ことと関連性が高いからのです。いわゆる、経済を物の流れと関連付けて
いる考え方ですが、この数年間は、とくに株式市場は、物よりも
ソフトウェアやサービス産業に焦点をあてて、経済の根幹の部分を
無視しているようにみえます。
為替市場への影響は
当然、物の流れとくに貿易が停滞すると為替に影響
がでます。とくに今回は中国からの貿易が停滞する
部品調達なども滞ってしまい、貿易を産業の中心となって
いる国はとくにダメージを受けてしまいます。その意味に
新興国の通貨、とくに韓国ウオンなどは下落圧力にさらされる
可能性があります。ドル円は、現状株価が好調を維持している
ことでリスクオン的な相場が続いていますが、バルティック・ドライ
指数が示しているように、今後リスクオフの展開になったときは
ドル円の頭が抑えられる可能性高いと思われます。
まとめ
今回はバルチック海運指数を焦点を当てましたが、コロナウィルスの
影響が実際に世界の運送に現れています。しかし現状は楽観的見方
と、経済の根幹が物からソフトやサービスに変わったことを物語って
いるのか、世界の株価は楽観的となっています。しかし、リーマンショック
ときもそうでしたが、怖さを忘れたころに大きなショックはやってくるので
先行指標のひとつであるバルティック・ドライ指数の動きは頭に入れておく
べきだと思います。