バルチック海運指数とは?株式と円安相場の先行指標になるのか?
世界の株式市場は上昇し、そして為替市場ではドル円が111円台
回復とリスクオン的なムードが占有しているにもかかわらず、
景気の先行指標とみられているバルチック海運指数を筆頭に
世界の運送を示す指数は2019年に入り、例年季節よりもさらに
悪化していています。
そこで、そもそもバルチック海運指数とはなにか?そして
株式市場や円安相場に与える影響はどうなのか?について
調べてみました。
バルチック海運指数とは?
バルチック海運指数はロンドンのバルチック海運取引所が
発表する運送貨物船、例えば、中国からロサンゼルス港への運送貨物
にかかる運送料といったとくに鉄鋼などのコモディティを
運送するためのコスト運賃指数です。運送貨物が高ければ高いほど、
また運送貨物に対する需要が高かければ高いほど、
貨物運賃指数は上昇します。一方で運送需要が低ければ、そして
商品価格が低ければその逆となりますが、現在はその逆の現象が
おきています。バルチック海運指数は、2018年半ばをピークに
してその後下落し続けています。
現在のバルチック海運指数の要因は
海運操船のオーナーは、貨物価格が下落していることと、
中国の海運需要が下落していることで長期的な不透明感をもって
います。またブラジルの鉄鋼石事故の後ブラジルからの
鉄鉱石の運送はスローダウンしています。そして旧正月の間、
中国からの需要も弱くなっており世界的なスローダウンが
おきているといっても過言ではありません。
船積率も記録的な水準まで下がり、しばらくは回復の
見通しがたっていない状況です。
シンガポールやロンドンの海運業者にによれば、
鉄鉱石、石炭、アルミニウムのような大型コモディティを
運送する大型運送船舶のチャーター料は、前日から500ドル
下落して安値8200ドルにまで下落しています。海運輸送の
採算価格は少なくとも15000ドルといわれており、
昨年の大型運送船舶の1日あたりの賃料は20000ドルを
超えていました。
株式市場、円安相場に与える影響は
このような停滞したバルチック海運指数の状況にもかかわらず
現状株式市場は好調であり、またリスクオンのムードから
為替市場は円安に動いています。
今年にはいり、この二つの市場の乖離は顕著になっています。
そこで考えられるのは、この乖離はいずれはどちらかに収れん
する可能性が高いということです。言い換えれば
どちらかが正しいということです。
個人的には、実態が伴っているバルチック指数を信用した
ほうがいいのではないかと思います。
その意味では、現在の株高と円安は一時的なものと見たほうが
いいのではないかと思っています。