
バリュー・モメンタム株とアーニング・モメンタムの違いは?現在クオンツ戦略が苦戦している背景は!
先週、FRBが一過性のタカ派に転じたことを受けて、インフレ・ストーリーに
注目が集まっていますが、ここ数週間のファクターによる・パフォーマンスには、
さらに劇的な動きとなっているようです。
例えば、最も人気のあるクオンツ戦略の一つである「バリュー・モメンタム」
のロング・ショートは、バリュー・ファクターとプライス・モメンタム・ファクターの
両方が循環的な回復とインフレのテーマに動くことが今年のトレンドに
なっていました。しかし、ここ数週間、特に先週のFOMCの後、この戦略は
歴史的な逆転現象に見舞われています、Lapthorneの計算によれば、
2002年以来最悪の月間下落率を記録し、木曜日に記録した4.3%の損失は、
1990年以来、バリュー・モメンタムファクターにとって14番目に悪い日と
なっています。
バリュー・モメンタムとは
バリュー投資は、割安の株をピックアップする手法です。
モメンタム投資も、過去30年にわたってこれほど長い間、高い
リターンをさまざまなところで上げているスタイルです。
この2つの手法は、さまざまな市場のさまざまな資産クラスで
魅力的なリターンを提供してきた長い歴史があり、
発見されてから何十年もそれが続いています。
このバリュー投資とモメンタム投資を組み合わせると、
さらに高いパフォーマンスを生み出すとの考え方から
投資する手法です。
バリュー投資家としての視点で厳しく株の買い時を探り、
実際の売却に当たってはモメンタム(勢い)がある限りは
指標的に既に割高になっていても我慢して乗り続け、株価がついに
そのモメンタムを失って下落し始めたことを確認してから静かに
去る投資手法、これがバリュー・モメンタム手法です。
アーニング・モメンタムとは
アーニング・モメンタムとは、収益成長のモメンタムを重視する
投資手法です。ファンドでは、売上増加率、利益増加率、
ESPモメンタム(1株当たり利益の変化率)などが利用されます。
これらを利用した評価を業績モメンタム(アーニング・モメンタム)評価
と呼びます。また、収益成長が加速している企業だけでなく、アナリスト
による業績予想を継続的に上回る企業、あるいはアナリストによる業績の
上方修正が定期的に実施される企業も、アーニング・モメンタムが注
目する点です。
現在クオンツ戦略が不振な背景は
一定の特徴を持つ銘柄は、歴史的にみて、リスク調整後ベースで
市場全体をアウトパフォームする傾向があります。例えば、本源的価値に対
して割安になっている銘柄(バリュー)や、上昇基調にある銘柄(モメンタム)は
市場をアウトパフォームする傾向があり、その傾向は株式、債券、為替、コモディティの
各市場で確認できます。そうした共通する特徴がここ数週間は崩れ
てきているようです。
また、次のチャートにあるように、月次ベースでは、ロング/ショートの「Value-Momentum」
の月次ドローダウンは過去最大となっています。
一方でアーニング・モメンタムは依然として強く、2021年の世界的な
予想変更のうち62%がアップグレードとなっており、そのアップグレードの割合は
リフレセクター(工業、基礎素材、金融、エネルギー)で高くなっています。
つまり、ここ数週間、市場はリフレのテーマに冷めているものの、利益の
モメンタムストーリーは依然として一致しており、銅価格は4月中旬の水準まで
後退したものの、原油価格はパンデミック前の水準を上回っている状況です。
同時に、上昇率は鈍化しつつあり、昨年の低迷によるベース効果も終わり、
企業の報告が通常より静かになるこの時期にこの傾向が強まっています。
まとめ
今年にはいって、とくに米国では、インフレトレードが主流で
バリュー株に投資が集中するロングショート戦略が主流でしたが
そのトレンドにも陰りがみえてきているのが、上記のグラフが
示しています。すべてのファクターのモメンタムの勢いが
失われてきているのが、クオンツ戦略がここ最近不振となって
いる背景のようです。
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