ノルウェーファンドとは?一部石油関連投資を停止する理由と為替への影響は?
ノルウェーの財務大臣は、ノルウェー経済
における原油価格下落のリスクを減らすために、
国 の巨大政府系ファンドにおいて石油探査会社と
生産会社の保有を減らすべきであるという提案をしました。
そのノルウェー政府が運営しているファンドがノルウェー・
ファンドですが、今回はそのファンドの内容と背景に
ついて述べてみたいと思います。
このノルウェーファンド決定がなぜ重要なのか?
これは世界で最も大きな政府系ファンドであり、
フィナンシャルタイムズは、この動きは、他の
大手グローバル投資家にとって模範として
環境保護主義社によって取り扱われる可能性がある
とされています。しかもこの決定は過去最大の
化石燃料資産売却提案であると、指摘されています。
この計画は、現在134社で約80億ドル相当の原油関連投資
に適用されます。段階的に廃止される保有企業リストには、
Anadarko、Marathon Oil、Continental Resoureces、
Chesapeake Energyなど、米国を拠点とする大手石油ガス
生産企業が含まれます。
そこには、当然日本の石油会社も含まれており、ユーロ円
への影響も想定されます。しかしこの売却は、石油、ガス探査
および生産会社のみ適用され、特に、ノルウェー独自
のEuinor社を含む統合した石油、ガス大手会社のような
再生可能エネルギーを小規模ながらビジネスの一部とし
て推し進めている会社は含まれていません。
このノルウェーファンドの決定の理由は
今後10年間の再生可能エネルギーの成長のほとんどは、
再生可能エネルギーを主たるビジネスとしてしていない企業に
よってもたらされるであろう、と予想されています。
このファンドはこのような企業を支援していくファンドになる
べきであると、シフ・ジェンセン財務省は声明の中で述べて
います。
このファンドのエネルギー関連株は、総額1兆ドルの
ファンドのうち370億ドルを占めています。
石油・ガス大手Equinor社の約67%を支配しているノルウェーが、
なぜこのような動きをするのか、理由がみえてきます。
ノルウェーは、欧州最大の石油、ガス生産者として、
その運命はすでに石油と密接に関連しており、輸出の
半分と州からの収入の約20%以上は石油関連商品から
得ています。要するにこの決定は独自の国の石油産業には
投資するが、他国のものについて排除すると言っているのと
等しいことになります。
しかし、化石燃料の売却擁護団体はこの動きを歓迎して
います。ノルウェー財務省は将来化石燃料から脱却して
移行していくだろうとの見方をしているのです。
今こそ、世界中の賢い投資家は率先して、エネルギー転換
の現実に基づいて意思決定を下す時であるとの、声が化石燃料
からの脱脚を目指している団体からはその声が強いのです。
しかしの矛盾点としては、ノルウェー財務省は、ファンドを
管理しているNorges Bankにポートフォリオのなかの
気候リスクを見直すよう依頼しているものの、今回の動きの
決定理由にその気候変動については言及していません。
ユーロへの影響は
この動きは基本的に他国の資産を売却するわけですから
ユーロ売り、あるいはドル売りにつながり、ノルウェー
クローネは上昇する傾向になります。
しかし、この決定により、すぐにそのキャッシュフローが
起きるわけではなく、為替への影響は限定的である
と思われます。