
ドル高円安と金価格そして株高の相関関係が崩れてきた理由はなに?
ドルも円の両方とも下落基調となっていますが、
注目に値するのは、黒田日銀総裁が国会で
日銀は必要であればさらなる金融緩和をするとの
発言をした後、金価格は14ドル上昇し11月初旬の
安値1200ドルから140ドル以上の上昇となり
2018年4月以来の高値1341ドルを超えました
通常のドル高株高と金価格の相関関係は
しかしながら現状、金相場は、教科書通りの他の市場との
相関関係を描いていません。伝統的によくみる
安全資産として金がトレードされていないことです。
金相場は2018年の大半の時期においてs&p500と
逆相関関係にありました。
これが通常起こる株高と金価格の関係ですが、株高をおこる
と金価格は下落に転じるのが一般的で、逆をいえば、株安と
なると金は安全資産として買われる傾向にあるのです。
ところが、12月の終盤にFRBがタカ派からハト派に転換した
と同時にこの逆相関関係は崩れました。
つまり、株高とドル高と金価格の上昇が同時進行でおきたのです。
金は中央銀行の金融政策の不透明感を反映して再び上昇した
と思われます。
金価格とドル高円安の関係は
通常の教科書どおりであれば、ドル高局面では、
金価格は下落の圧力をうけます。
一方で円安の局面でも、金価格も下落の
傾向をもちます。
その理由は、円安基調が続いているときは
一般的にリスクオン、すなわち株高傾向にあるとき
です。すなわち投資家が積極的に対外資産の
購入をすすめているとされているときです。
ですから、通常安全資産として言われる、すなわち
利回りのつかない金は売られる傾向にあるのです。
金価格の上昇の背景は
現在金価格が上昇している背景は、おそらく
金は単に商品単体として買われていると
思われます。結局、株だけが12月から急上昇に転じたのではなく、
WTIもここ数年の安値40ドルから現在55ドルにまで急上昇して
います。
ベースメタルはさらにここ最近驚くべき動きをしています。
パラジウムは昨年の8月以来50%以上上昇し史上高値を更新
しました。
最近の金相場は明らかな上昇トレンドを形成しており、これに
基づいて、アルゴリズム的な買いが入り、またここ最近CTA
の買いにつられて上昇している可能性があります。
また、中央銀行が外貨準備として金の残高を増やしている
傾向にあります。中国、ロシアなどが、顕著に金の外貨準備高
をここ最近急激に増やしています。
まとめ
現状、株高と金価格の上昇が同時におこるという奇妙な
現象が起きていますが、これは、金需要に関する
単体の要因のようです。為替では、現状ドル安と円安が
同時進行しています。
にもかかわらず、金価格が上昇トレンドがしっかりしている
ということは、ドル円相場は、今後ドルの上値が限られ、円安に
なりにくい構造になっている可能性があります。
やはり過去の金相場とドル円そして株価の関係からみれば
現状ドル高円安と現在の株高は限られたものになることも
想定する必要があるかもしれません。