ドルトルコリラの2018年夏場に向けての見通しは
このところトルコリラの暴落が目立っています。
いろいろ複雑な世界の為替市場にとって、トルコリラ
こそが注目すべき対象となっています。
ドルトルコリラの現状は
トルコリラは、最近ドルとユーロの双方に対して
過去最低水準に落ち込んでいます。
見てのとおり、ドルトルコリラはドルの上昇トレンド
過去3年以上続いています。
しかもしっかりとしたトレンドです。
一方で他の新興国通過は上昇傾向を維持しており、
これらの通過はアメリカの利上げに追随せず
に済んでいます。
その結果として、他の新興国通貨の株式と債券に
順風が吹き、それが新興国通貨を支えています。
ところが一方で、トルコリラにとって問題なのは、
景気過熱リスクがあることです。
経済成長率は7%と好調なものの、インフレ率も
それを上回る上昇をみせ、経常赤字も悪化している
状況です。
↑トルコのインフレ率は10%を超えている状況
です。それでもトルコ中銀は利上げに対して慎重
な姿勢をとっています。
その理由として、トルコは中央銀行に対して
政府の介入、すなわちエルドアン大統領の意向に
左右されるケースが多いのです。
そして、Moody’sもトルコの格付けを下げました。
ドルトルコリラの今後の見通しは
トルコリラにとっての最大のリスクは、外的ショックに
さらされるリスクが増していることです。
2016ねんのクーデター未遂事件とその後の政治的弾圧
の際にみたように、トルコは、地政学リスクが高い
ことで、投資家が敬遠していることです。
アメリカのFRBは利上げを進め、貿易面でも
緊張が高まっており、トルコはまた欧米各国
との関係も悪化しています。大半の通貨に対して
下落している、ドルが反発したら、トルコリラは
さらに厳しい試練に直面する可能性があります。
トルコについては、中東情勢の緊張が高まっている
中で主役的立場になっています。
とくに、シリアのアイリン地区での戦闘の悪化は
トルコリラから離れる要因となっています。
その意味では、アメリカが、シリアにどういう立場を
とるか、またロシアがシリアのアサド政権を支持して
いるだけに、トルコとシリアのいざこざが、他を
巻き込んだ紛争に発展するリスクがこれから注意すべき
点だと思います。
まとめ
気になることは、トルコリラには、インフレ圧力が
かかっているなか、中銀が利上げをしたいにも
関わらず、エルドリアン大統領が圧力を
かけているせいで、利上げができない状況に陥って
いることです。
いっぽうでアメリカは、利上げのサイクルに入っており
トルコリラは、対ドルでさらに下落圧力が強まる可能性
がこれから夏場にかけてさらに強まりそうです。