ドルの強さに根拠が出てきたアメリカ住宅市場の回復
今週のマーケットをおさらいしてみますと、黒田総裁のヘリコプターマネー
否定発言が出るまでは、ドル円は107円台に突入する強さをみせていました。
木曜日に掲載された、約一か月前の黒田総裁がヘリコプターマネーに否定的
な発言が伝わるとドル円は105円台に下落しましたが、その後はじわりと
ドル高に基調にもどりつつあります。
その根拠の一つにアメリカの住宅市場の回復もあらわれはじめてきました。
アメリカの中古一戸建て市場に回復の兆し
米経済の低調がここまで長期化してきた原因のひとつに住宅市場の
停滞がありました。
まず住宅市場の弱さに目がいっていました。住宅の販売と建設が一貫して低調と
なる中、直近のリセッション(景気後退)後の7年間で見ると、国内総生産(GDP)
に対する住宅投資の寄与度はわずか1.2%でした。
しかし、ここにきて住宅市場で回復の兆候が増えてきています。全米不動産協会(NAR)
が21日発表した6月の中古住宅販売件数(年率換算、季節調整済み)は07年以来の
高水準に達しました。既存ローンの借り換えではなく、住宅購入のための新規ローン申請
も増加しています。19日発表された6月の住宅着工件数(年率換算、季節調整済み)
も増加に転じています。
一戸建て住宅にシフトしている兆候
住宅建設では集合住宅から一戸建てへという流れが見られます。これは、賃貸住宅より持ち家の方が
価値があると考える消費者の増加を示唆しています。こうした傾向が経済全体にとって好材料である
理由は、一戸建ての建設自体がより大きい浮揚効果を持つだけでなく、持ち家の場合、芝刈り機から
自動車まであらゆる関連商品の購入増につなります。
現状では、新築及び中古の一戸建て住宅販売は、労働年齢人口が現在より2割ほど少なかった
1990年代終盤の水準にとどまっていますが、もしこの回復が本物であるなら住宅市場の伸びしろが
まだ十分あり、米経済の強力な新たな成長源になる可能性を示唆しているかもしれません。
9月の利上げとドル高基調が強まる?
6月の雇用統計の回復を見た後の市場のセンチメントは一転しました。
雇用と住宅市場が好調であるならば、9月の利上げも現実味を帯びて
くる可能性があります。
全体のリスクオン的な動きを相まって、ドル高基調は今後しばらく続く
可能性が高いと思われます。