ドット・フランク法の改廃が承認されたことでボルカールールの影響はどうなる?
米下院金融サービス委員会は4日ドッド・フランク法の改廃へ向けた
初の議会包括案を採決し、共和、民主両党議員が党の方針通り投票し
賛成34票、反対26票で承認しました。
金融危機後の2010年に制定されたドッド・フランク法の多くの条項を
緩和するようになっています。
ではこのドット・フランク法とはどんなものだったのでしょうか。
ドット・フランク法とは
ドッド=フランク法は、
(1)システム上重要な金融機関の規制監督の強化、
(2)システム上重要な金融機関の破綻処理法制の整備、
(3)店頭デリバティブ規制の強化、
(4)ヘッジファンドなどの私募ファンドの助言業者の規制強化、
(5)上場会社の規律の強化など、包括的かつ大幅な改革を行う
膨大な量の内容となっています。
そこで今注目されているのが、トランプ氏がこのドットフランク法を
廃止すると選挙中に公約していたことが現実となるかです。
実際の改廃内容は?
政権移行チームは、共和党が最も望ましくないとみる個々の条項の
廃止や見直しに注力する意向のようです。例えば、主要なノンバンクを
「システム上重要な金融機関(SIFI)」に指定して厳格な規制の対象
にする金融安定監督協議会(FSOC)の権限が疑問視されています。
これら関係者によると、もう一つの優先事項は、破綻しそうな
金融機関を管理下に置いて清算する権限を金融当局に与えている
ドッド・フランク法の第2編の見直しです。政府は2008年の金融危機時
に資金注入によって金融機関を救済したが、それにあたる第2編
を廃止することが予想されています。
注目のデリバティブ規制などは残る見通し
一方、金融危機の中核部分にあったデリバティブ
の規制や格付け会社の透明性向上など、この包括的な金融規制の他の
要素はこのまま残る見通しのようです。
トランプ氏の金融政策チームはまだ編成の途上にあり、優先事項が
変わる可能性もあります。
トランプ氏はSECの元共和党委員で
前々からドッド・フランク法を批判してきたポール・アトキンス氏
を金融規制政策の助言役に起用していました。
しかし選挙戦と実際の政権移譲後は共和党の草案にそった形での
修正にとどまることが予想されます。
ジェブ・ヘンサーリング委員長(共和、テキサス州)が提案した
金融選択法案を下院本会議に送付して議会で採決される見通し
となっています。
焦点はボルカールールがどうなるのか
ドッツ・フランク法でボルカールールが導入されたことにより、
自己トレーディングの禁止、ヘッジファンド・プライベート
エクイティファンドへの例外を除いての投資が禁止されました。
今回のこの改廃でボルカールールの扱いがどうなるのか注目
されていますが、トランプ大統領は、俗にいう「ボルカールールの撤廃」
という大統領令に2月にサインをしています。
トランプ大統領ってのは、ブルーカラーの白人男性が支持勢力と
言われていますが、実はウォール街の支援を受けていて
規制緩和といいつつ、実際は金融機関に自由にリスクテイクさせる
という方策に変わっていくようです。