ドイツ銀行のCoCo債(AT1債)とはなに?デフォルトリスクはどうなのか?
新型コロナウィルスの拡大が、金融市場にも大きな
影となって影響を及ぼしています。
ドイツ銀行は、来月末に償還可能になる債券の
返済オプションを行使しない方針を決めています。
この返済オプションとは、AT1債券、いわゆる
CoCo債券といわれるものです。
これは、新型コロナウイルス感染拡大を
背景とする最近の市場の混乱を受けた決定で、
他の銀行が追随する可能性もでています。
そこで今回はこのAT1債、いわゆるCoCo債券
について調べてみました。
AT1債(CoCo債券)とは
AT1債は偶発転換社債(CoCo債)の一種です。
銀行が発行する債券としては最もリスクが高い債券です。
これは、償還期限がない永久債と同等に扱われますので
銀行の資本のカテゴリーの中では、Tier1に属します。
いわゆる株式と同じカテゴリーとなり、借り手としては
いちばん期限に制限がない債券ともいえます。
しかし償還可能日を迎えれば返済できる債券です
CoCo債券のデフォルトリスクは?
CoCo債のデフォルトリスクとは、銀行がその金利を
払い続けれるかどうかということです。
ドイツ銀行は今回来月12億5,000万ドルの債券を償還する
オプションを行使しないそれで、12億ドルのいわゆる
追加ティア1(AT1)債を保有すると発表しています。
内容は、CoCo債券で、銀行が発行できる最もリスクの高い債務で
特定の期間後に返済することができますが、返済期限の延長は、
本質的に永続するように設計されています。このCoCo債券は
主に欧州の銀行が発行していますが、ドイツ銀行を含む欧州企業の
債券販売を管理する銀行家は、この市場の暴落により、借り手が
AT1をそのままにして償還しないことを望んでいます。ということは
7%~9%の金利が支払われ続けることを意味します。
今回のドイツ銀行のデフォルトリスクとは
ドイツ銀のAT1債は4月30日に償還可能日を迎えますが
今回償還させないことを決めています。
AT1債は、発行体の銀行の財務が悪化した場合、公的資金で救済する
のではなく、債券の保有者が損失を被るよう設計されており、2008年の
金融危機後に出回るようになっています。
ドイツ銀が返済を見送るのは総額12億5000万ドルのAT1債
(その他ティア1債)です。AT1債を発行する銀行はこれまで、
償還可能日を迎えてからすぐに返済するのが通例ですが
例外的なケースもは、スペインの銀行サンタンデール銀行が
昨年、返済を遅らせました。
まとめ
基本的には、償還を見送るケースがまれであるAT1債について
今回ドイツ銀行は償還の延期を選択したようです。
償還を見送るほうが大幅にコストが低いと判断したようです。
最近発行された他のCoCo債は、感染拡大が深刻なイタリアの
銀行が発行したものを中心に、新型コロナ流行の打撃を受けています。
イタリアの銀行であるUBIバンカが1月に発行したAT1債
(発行額4億ユーロ)は9日に利回りが174Bps急騰し、
7.17%となっています。そしてイタリアの銀行のバンコBPMの
CoCo債は利回りが9.67%と、月初の6.6%から大幅に
上昇しています。こうしたCoCo債によるデフォルトリスクとは
銀行側からすれば永久債のカテゴリーなので、結局この高い金利を
払い続けることができるのかというところにかかってきます。