トルコ国債CDS急上昇でデフォルトリスクと今後のトルコリラ円の予想は?
トルコ国債の動きが大きく揺らいでいます。
トルコは外国人投資家によるリラ売却を事実上不可能に
することで、同通貨の下落に歯止めをかけました。
一方で国債を保証するコストが急上昇しています。
トルコ国債のCDSスプレッドが急上昇しているのです。
そこで、今回はトルコ国債に起こっていること、また通貨への
波及リスクについて考えてみたいと思います。
トルコ国債が急落している背景は
31日の地方選挙を控え、トルコの国内銀行は流動性を
提供しないよう圧力を受けており、リラ建て資産を放出
したい海外のヘッジファンドは身動きが取れなくなって
います。
この政府の動きによってトルコリラの急落は阻止されているものの、
トルコ国債を保証するコストであるクレジット・デフォルト・スワップ
CDSのスプレッドは、急上昇しています。
27日に40ベーシスポイント上昇し、昨年9月以来の高水準に
達しているのです。
オフショア市場でトルコリラを借り入れる翌日物の調達コスト
となるスワップレートは1000%に達しています。
トルコ国債CDSの上昇によるリスクは
外国人投資家は先週から、トルコ資産から資金を引き揚げよう
としているようです。海外の投資銀行は投資家にリラ売りを
推奨してトルコリラの急落を引き起こしていました。
一方でエルドアン大統領は、投機に荷担した銀行を
罰すると警告していいます。
この大統領による強権発言によって、よりトルコ国債に対する
信任が失われているようです。
エルドアン大統領の発言によって、かえって売りを
加速させましたが、トルコの翌日物金利が急上昇しているリスク
には、外国銀行が取引の相手方を見つけられない状況に
あることが大きな問題のようです。
トルコリラ円の今後の予想は
トルコ当局は昨年夏のリラ急落後、外国勢によるリラの
一斉売りを抑制するため、国内銀行が外銀に貸し付ける
額に制限を設けています。これによって投機的なトルコリラ
売りは一時的には抑制されていますが、トルコ政府による
強権発動に海外投資家は不信感を抱いているのも事実の
ようです。それが、トルコ国債CDSの急上昇の背景に
なっていますが、為替については、トルコ国債のデフォルト
などのような事態が起きない限りにおいては、トルコリラと
円の金利差を考えても、トルコリラ円の動きはある程度
サポートされるのではないかと個人的に考えます。