トランプ税制改正にも暗雲が?トランプリフレトレードの巻き戻しが始まる?
トランプ政権の課題の最優先としていた、オバマケアの撤廃
は結局失敗に終わりました。
この結果を受けて、市場はこれで減税法案にシフトしていく
という見方もありましたが、どうもこの減税あるいは税制改正
にもいろんな壁があるようです。
減税の財源がない!
大幅な減税と政府債務の増大を抑えるという相反する要求の
バランスを図ることです。議会共和党指導部は、改革後も現制度と
税収がほぼ変わらない税収中立案を求めています。
税収中立と大幅減税を両立させるためには、法人税の利払い
控除や州・地方税の税額控除といった国民に人気の高い優遇措置
を取りやめるしかなくなります。
それを守りたい共和党内グループの強い反発に直面する可能性
があります。
減税のターゲットに意見の違い
共和党は税制改革の目標と誰が受益者になるかをめぐる
異なる見解に折り合いをついていない状況です。トランプ氏は自分が
優先したいのは中間層向け減税だと強調していますが
ムニューシン財務長官は上位1%の層ではないと語って
います。一方、ポール・ライアン下院議長と下院歳入委員会の
ケビン・ブレイディ委員長は、たとえ減税が超高所得層に
有利になったとしても、経済成長を促進するような税制見直しを
求めています。
国境調整税で意見が分かれる
ポールライアン氏とブレイディ氏が提案した「国境調整税」で共和党内の
意見は割れています。輸入品には関税を課す一方、輸出品への課税
は免除するという案ですが、トランプ政権は態度をはっきり
させておらず、時に批判も飛び出しています。上院共和党は
あからさまに冷淡な態度をとっています。ポールライアン氏
によると国境調整税がもたらす約1兆ドルで法人減税を相殺
できるほか、企業利益の海外移転を抑止する効果があると
主張していますが解決の道筋が見えない。
再生可能エネルギーや低所得世帯に対する減税措置、
プライベートエクイティ投資会社の成功報酬の扱いについて
大きく意見が共和党内で分かれている状況です。
ニューヨーク州やニュージャージー州といった税率の高い州では、
所得税収が不足するテキサス州やフロリダ州に比べ、州・地方税の
税額控除廃止には消極的となることが予想されます。
恒久減税にならない可能性
手続き上の課題も予想される。民主党が大幅な減税に同意するとは
思えないため、共和党は上院において党の方針通りの投票結果で
法案を可決させるルールを用いる可能性が高いです。そうなると
通常は10年間、予算措置を講じる以外に財政赤字の増加が
認められないルールとなっています。
今回共和党全体の課題であったはずのオバマケアの撤廃と代替案
が党内でまとまらなかったことは、税制においても、もっと
難しい反発にあう可能性が強くなっています。
そうなると、減税を前提に築き上げてきたトランプリフレトレード
の巻き戻しがこれから始まる可能性も否めません。