トランプ政権の米国一局有利の貿易課税制度は実現するの?
トランプ次期大統領が、半ば独善的に行おうと
している、アメリカ一極有利にもってくる貿易課税
政策は、果たして実現し機能するのでしょうか?
トランプ氏が掲げている税制改正は、法人税率を35%
から15%に引き下げて米国で事業を行う企業の競争力を
強化しようとしていますが、それに付け加えて、米国からの
輸出を免税」「米国への輸入は課税強化」が加わります。
まるで後進国の貿易課税政策
米国からの輸出を免税する目的は、輸出で稼いだ利益には
税金がかからないということで、米国からの輸出品が
値下がりして米国企業の競争力が高まるだけでなく、
米国での生産活動を促進させる目的です。
一方で「米国への輸入は課税強化」とは、現行では
米国企業が原材料や部品を輸入すればコストとして
差し引いて課税所得が計算されていますが、それが
差し引けなくなり大幅増税となってしまいます。
輸出促進で経済を発展させようとする新興国のような税制を、
世界最大の経済大国である米国が断行しようとしています。
WTO協定の下で先進国ができるのか?
実質的には輸出補助金、輸入課徴金に相当するもので、
WTOのルールに抵触する可能性もあります。
ただトランプ政権は、この関税を別の形に見た目を
変えて、觝触しないことを主張して実行に移すと
思われます。
ここで重要なことは、いわゆる付加価値税(日本の消費税も含む)
では基本的に同じようなルールが国際的に適用されています。
日本では、海外からの輸入品にも8%の消費税がかかりますが、
輸出では原材料等の輸入に支払った消費税は製品の輸出時に
還付されています。輸出先でまた付加価値税が課税されるため
二重払いを避けるためです。
ところが米国には全国共通の付加価値税(消費税)がないため、
そもそも米国企業は輸出の際の税還付がなく輸出先では
付加価値税が課税されるため、もともと輸出が不利とされて
いました。
ただ、トランプ氏が特定の企業や国に対しての特別課税は
現実味がないと思われます。
結局は、アメリカ一局だけ富が集中することを目的として
いますが、中国をはじめとする日本へのダメージ、
アメリカが輸出振興政策をとっても、アメリカの高い
コストとドル高が障壁になり、結果的にゼロサムに
なってしまいそうです。
人民元安とドル高圧力に襲われる?
アメリカの輸出振興策が、このように力づくで
はじまれば、よりドル高圧力に拍車がかかり、
コントロールできなくなる可能性があります。
中国の介入資金も底をつき、結局世界全体が混乱
に陥ってしまう展開も2017年は頭の隅に置いて
おくべきかもしれません。