
トランプ政権のグラス・スティーガル法の影響は?規制緩和に逆行する?
共和党の金融規制に対する考え方については、
選挙中の公約、特徴的な内容として、銀行が証券会社
と系列関係を持つことを禁止(いわゆる銀証分離)した
グラス・スティーガル法の復活ないしはアップデート
を掲げていました。
これに対して、ドッド・フランク法に対する考え方は
民主党との間で異なっています。民主党は、同法の強化
を目指しているのに対し、共和党は、同法に否定的であり
ます。
グラス・スティーガル法とは
これは、証券と銀行の分離、・連邦準備制度の強化、
・預金者保護のための連邦預金保険公社(FDIC)の設立、
要求払い預金への利子の禁止などを規制したものです。
証券と銀行の分離は、商業銀行から投機的精神を撲滅して
企業の安定経営を図るものでした。預金者保護には自主独立の
精神に反するという反対論もありましたが、その後も
銀行閉鎖を少なくする効果を生みました。連邦準備制度の強化は、
従来の連邦準備委員会から決定権を連邦準備制度理事会(FRB)
に移し、すべての銀行を連邦準備制度に加盟させました。
グラス・スティーガル法の廃止は1980年代のレーガン政権下
で規制緩和、自由競争の復活という経済路線が強まり、証券と
銀行の分離を原則とする1933年グラス=スティーガル法
の見直しが始まりました。1990年代のIT好況に転じた
アメリカ経済を背景に、1999年11月、共和党が多数をしめる
上・下院はグラス・スティーガル法を廃止し、銀行・証券・保険
を兼営する総合金融サービスを自由化する法律
グラム・リーチ・ブライリー法を可決させました。
このように新自由主義に基づいて金融をも自由競争に
さらすことになったアメリカ経済はその後、サブプライムローン
などの問題を引き起こすことになったのです。
グラス・スティーガル法復活の影響は?
これは、以前から共和党も民主党も唱えていた
改正であり、トランプ政権は、共和党の法案に
すんなり乗った感じです。
規制緩和を訴えているトランプ政権にとっては
逆の方向のように見えますが、これも議会を
なかまに入れるための方策かもしれません。
トランプ氏にとっては、減税ろインフラの予算を
つけることが大前提で、そのためには、議会に
擦り寄る戦略のひとつかもしれません。
その意味でこのグラス・スティーガル法復活の
市場への影響はほぼないと考えます。