トランプトレードの一番のリスクはなに?新興国通過の下落は続くのか?
現在の新興国市場の状況はあの米国の「テーパリング」
の時と似ています。
当時はFRBが債券買い入れの縮小(テーパリング)
を示唆したことで、新興国の債券市場から資金が流出し、経済規模の大きい
新興国の多くが危機に陥りました。
トランプ政権とテーパリング時との違いは?
2013年にFRBが13年に債券買い入れ縮小を示唆すると、
新興国の債券市場ではパニック的な売りが起き、世界的な利回り
追求の一環で新興国債に投資家が殺到する中でマネーが一気に
流出したため、新興国債利回りは急騰し新興国通貨は下落
しました。
今回も同じようなことが起きていて、米大統領選の1カ月前には、
新興国通貨建て債券の直近8カ月の投資収益率が20%を超え、
09年の金融危機終了後で最大となっていました。
それがトランプ勝利とともに通貨安と利回り上昇が重なり、
投資家は8%の損失を出し、米大統領選後に利益の多くが吹き飛び
ました。
2013年のテーパリング時と大きく異なる点もあります。
当時は新興国に資金が流入していた期間は今よりも長く、債券だけでなく
株式にも資金が流れ込み、一部新興大国の多額の経常赤字
を埋め合わせていました。ところが今回は、株式への資金流入が少額
にとどまっている上、新興国は既に経常赤字はテーパリング時よりも
縮小しています。
問題なのは新興国通貨安でも貿易が増えないリスク
FRBの政策転換が新興国を揺るがした13年と違い、いま新興国にとって問題
となっているのは、トランプ氏が公約した減税やインフラ投資によって米国の
成長率とインフレ率が加速すると見込まれているにもかかわらず、米国の保護政策
によって、新興国では輸出が伸びや、資金調達コストの上昇が一部相殺されることが
難しくなることです。
結局、新興国の調達コストの上昇と通貨安による、新興国からの資金の
流出を加速させるリスクだけが大きくなる懸念があります。
ドル高に歯止めがかからなくなる?
こうなると、人民元をはじめとする、大国の新興国通貨の下落が
止まらなくというシナリオも考えられます。
とくに人民元の下落は、米国にとってもネガティブなはずなのに
貿易の保護政策によって皮肉にも止まらなくなる相場展開も
予想されます。
長期金利が上昇することによって市場にどのような影響を及ぼす
のかトランプトレードの一番のリスクと思います。