
トランプショックは皮肉にも人民元安と円安が止まらない~今後はドル高に拍車がかかる?
中国政府は11日、人民元の対ドル基準値を1ドル=6.81元に
設定しましたが、売買規制のないオフショア市場では6.83元
まで下落し、ペッグ(連動)制がとられていた2008〜10年の
水準とほぼ同程度となっています。中国が人為的に通貨安を
維持していると責めるトランプ氏にとり、こうした値動きは
皮肉になっているような気がします。
人民元に対する通貨バスケットを構成する他通貨の変動に
左右されることは知られていますが、このバスケットはドルの
構成比率が最も高く、ドル高と円やユーロの下落が人民元の
下落を促していたが、いずれにせよこの1年は人民元は下落基調
を維持しています。
中国政府は人民元買い介入を実施
中国政府は人民元の暴落を防ごうと、7-9月期の国際収支
で外貨準備から1360億ドルを支出しています。たとえ中国が
力を入れても、元相場の大幅な押し上げは不可能のように
見えます。むしろ重視すべき課題は、人民元の一段と急速
な下落に歯止めをかけられるかどうかです。
人民元とっては好都合?
その点で、トランプ氏の政策は極めて重要となります。
中国は現在、人民元の急落を止めるのが国益にかなうと
みています。国内の安定をもたらし、経済からのさらに
急速な資金流出を防げるからです。
トランプ氏は大統領に就任すれば早々に関税を課すと
威嚇しており、対米関係であつれきが高まれば、中国は
人民元が底入れするに任せる方がより国益になると判断する
中国では資金の流出入が均衡状態になり輸出も活性化する
うえ、外貨準備を将来のために残しておくことができる
と思っているかもしれません。
むしろトランプ氏に反して人民元、円安がすすむ
トランプ氏は中国に人民元相場を上昇させるべく圧力を
かけるかもしれないが、結果として人民元安が進みかねない
状況になっている可能性があります。
ドル円も同様に、金利差に注目したマネーが、ドルに回帰
し、今後はドル高円安基調に拍車がかかる可能性も
あるとおもっています。