デイビットショー氏のDEショーヘッジファンドが成功している手法と理由は?
厳しいヘッジファンド業界にあるなか、唯一といっていいほど
の好パフォーマンスを上げ続けているヘッジファンドがあります。
それがDEショーです。
DEショーヘッジファンドの運用方法とは?
DEショーはコンピューター科学者のデービッド・ショー氏がモルガン・スタンレーから
独立して1988年に創業。ハイテクを駆使するヘッジファンドの草分け的存在だです。
この数年はクオンツをまとまった規模で採用し、金融市場の
騒音から未知のパターンを見付け出して投資しています。
創業者のデイビット・ショーが金融業界に携わったのは、モルガンスタンレー社の
クオンツシステムの開発に参加したことがきっかけです。
ここでデイビット・ショーは市場の価格のゆがみに関するシステム開発を
行うこととなりました。
市場には、企業の情報の反映と異なる、需給要因による価格変動が
あります。例えば大手年金基金が資金需要のために大量の個別株式を売った場合、
企業業績と関係なく株価が下落することとなる。すなわちその株は割安状態
となるのです。
このような場合、同じ業種の株価の相対価値を追っていれば、同じ業種の中
の特定の株式のみ業績以外の理由で、下落していることが分かるという
しくみです。特異な値動きが生じた場合は、下がった銘柄を買い、
動いていない銘柄を空売りすることで、市場リスクを抑えたまま、
リターンを狙うことができるという手法です。
この方法はいわゆるバリュー投資ともいわれ、現在ではメジャーな投資手法
となっています。
DEショーファンドが成功している理由は
デイビット・ショーは価格の歪みのアノマリーをJPモルガンで
研究することがきっかけとなり、ヘッジファンド運用への道に
歩んでいきました。
ヘッジファンド業界はDEショーなど運用成績の優れた一部の運用会社が
手数料を引き上げ、管理手数料を運用残高の2%、成功報酬を値上がり益の
20%とする「2&20」モデルから「3&30」モデルに移行しつつ
あります。いわゆる、報酬収益と手数料の値上げをDEショーは行い
ました。
デイビット・ショーは金融派生商品の価格の算定は正規分布を基本としない
ものを前提とするべきという判断から、モルガンスタンレー社を退職し、
自分の名前を冠したヘッジファンドを設立したことが見事に成功したのです。
ヘッジファンドD・Eショーは転換社債アービトラージ戦略など主に
価格のゆがみに着目した運用で、運用実績を出していきました。
ショー氏の手法は今も活きていて、「コンポジットファンド」で
運用資産140億ドルはマルチ戦略を採用し、2001年の立ち上げ以来の
手数料控除後のリターンが年11%近くあげるというおそるべき運用実績
を示しているのです。
まとめ
DEショーはこうした良好な運用成績を挙げつつ、2013年以来
新規の投資家の受け入れを中止しています。
業界関係者によると、クオンタティブヘッジファンドの
代表格であるツーシグマと、著名投資家スティーブン・コーエン氏が
率いるポイント72も一部のファンドで手数料体系を「3&30」としています。
一方で平均的なヘッジファンドは管理手数料が1.4%強、成功報酬が17%弱
となっています。
DEショーが手数料体系を「3&30」とした後も投資家に対して手数料控除後で
11%近いリターンをあげているようです。そのためにはグロスのリターンを17%強から
19%弱に高める必要があります。これだけ圧倒的な成績が残せるヘッジファンドと
そうでないヘッジファンドの住み分けがはっきりとしてきているようです。