スイス中銀はなぜスイス高キャップを撤廃したのか
あれだけスイス高を敬遠していた、スイス中銀(SNB)がなぜ
スイスフラン高の上限を撤廃したのだろうか。
この突然の政策転換に、スイスフランの為替市場の動きは、リーマンショック時
をも上回る乱高下にみまわれました。
スイスフランの対円でも約40円近い動きが一瞬にして起きました。
SNBはこれだけの衝撃を市場に与えるということを予期していなかったのだろうか。
それとも、市場への衝撃よりも必要な背景が今回の政策転換にあったのだろうか。
この疑問をひも解く1つのカギとして、先日行われた中銀の金の保有に対する
国民投票があると思われます。
スイスフラン安政策により、スイス中銀の資産の45%がユーロ建てになっており
少なからず、この状況に対する批判があがっていたこも事実です。
この上限があるがゆえに、今後もユーロの資産を増やし続けることへの限界を
スイス中銀は認識していたのだと思われます。
またそれに加えて、ECBが今月国債買い入れの量的緩和を実施する可能性が高い
さらなる、ユーロ建て資産の増加に歯止めをかけたいとの思惑があったと
思われます。
SNBは公式のコメントでは、ユーロ安が進むにつれて、スイスフランも他の通貨に
対して割安になったので、上限を維持する必要がなくなったとコメントしていますが、
それにしては、今回の転換の下準備が市場にできていなかったことは否めません。
今回の政策転換で市場に与えた衝撃は大きく、これだけの大幅なスイス高が一気
にすすんだことで、スイスの輸出や経済に悪影響が出てくることも懸念されます。
このショックによりユーロ安は加速し、テクニカル的にキーレジスタンスとなっていた
1.1840近辺がはるか遠くになってしまいました。22日のECB理事会までは、戻りらしい
戻りがないまま、ユーロの下落基調が続くような気がします。