カレンシー・ウォー(通貨戦争)が小休止!?対中関税一部延期でドル円は底を打った?
カレンシー・ウォー(通貨戦争)の小休止となるか?
トランプ米大統領は13日、9月1日に発動予定の中国製品に
対する10%の追加関税のうち、ノートパソコンや携帯電話など
一部製品への発動延期を決めました。
この報道を受けて、ドル円相場は、大ショートカバー合戦
となっています。
ドル円の大ショートカバーの原因は
(チャート:楽天証券より)
米通商代表部(USTR)は声明で、「コンピューター、ビデオゲーム端末、一部の玩具、
パソコンのモニター、一部の履物や衣料品」などに対する関税措置の発動を
12月15日まで延期すると表明をだしました。
また、これとは別の製品群も「安全性や国家安全保障」などの観点から除外されると
明らかにしています。
この報道を受けて、ドル円は一時104台に突入していましたが、一気に2円近く
上昇しました。ただその後は、ずるずるとドル円は下げており、現在は106円台
前半でおちついています。
そして株のほうもハイテク株中心に買いが膨らみ、ダウ平均株価.DJIは一時500ドル以上
値上がりしたほか、アップル(AAPL.O)株は5%超急騰しています。
一般的なカレンシー・ウォー(通貨戦争)とは
一般的に通貨戦争が起こっているときは、先進国通貨が、発展途上国の通貨
よりも優位性を持つ傾向にあります。そしてとくに米ドルは先進国通貨のなかで
も優位性をもちます。米国は、ドル安に誘導することによって、自国の貿易の
競争力を高めようとする傾向にあります。
そして、ドル、円、スイスフラン、そしてユーロが避難通貨として買われやすい
状況になりやすいです。
そして、世界的な通貨安は、新興国の通貨が誘導して起こることが多いです。
とくにリスクオフの局面では、新興国通貨は通貨安を誘導するパターンが
多いです。
インフレが抑えられているとき通貨戦争に勝利する
通貨安誘導合戦が起こると、金利の引き下げが行われるケースが
多いですが、その時にインフレがターゲットよりも抑えられる
とその通貨は通貨戦争に勝利するケースが多いです。
一般的には先進国の通貨のインフレが低く抑えられる
ケースが多いです。
見てわかるように、新興国通貨、とくに現在ではアルゼンチン、トルコのインフレ
が目立っている状況です。
ドル円は底を打った?
今回、関税適用延期の対象となる携帯電話やラップトップ、タブレットコンピュータ、
玩具、ビデオゲーム端末は主要製品群とされており、ロイターの試算や米政府のデータによると、
昨年中国から輸入された製品の約980億ドル分を占めます。
これでドル円を中心にクロス円は大幅上昇、当然ですが株価も大反発となりました。
いわゆる典型的なリスクオン相場となっていますが、その時には円安傾向
となります。
こういうサプライズには過度に反応しているときは、たいていポジションが偏って
いるときです。市場も全く予測していなかったことや、一方向へ相場が進み過ぎていた
ことも重なって、強烈なショートカバーとなりました。
これによって、ドル円は底を打ったのか?
という大事なポイントについてですが、やはり市場はまだ信じていない
ようで、基本的にドル円は戻り売りスタンスを維持するほうが確率が
高いように見えます。
まとめ
現在は明らかに政治相場で、トランプ大統領の一言で市場が右往左往して
います。為替市場も株式市場も自由に相場を操っている感じがします。
トランプ大統領も米中貿易摩擦で、肝心の自国の株式市場がマイナスに
なることだけは避けたいところで、その辺を言葉巧みにコントロールしている
感があります。
しかしそうならないのが市場で、一度火が付いた市場は、これからのも
通貨戦争、すなわち通貨安が合戦が今後も続き、結果的には円高基調は
今後もまだ続く可能性が高いと思われます。