エルドアン大統領が企むトルコ国民投票結果でトルコリラはどうなる?
エルドアン大統領が企てる憲法改正の是非を問う
国民投票が迫っています。これは、政治的な岐路に
立っているともいわれ、トルコの岐路にたっている
と言われています。
しかしこの国の経済にとって、国民投票が転換点と
なるかどうかは別問題のようです。
国民投票結果は拮抗している
世論調査によると、憲法改正への賛否は拮抗して
ます。「賛成多数」となれば、いくらか政治的には
安定しそうですが、エルドアン大統領が握る権限が
強大になるだけです。憲法が改正されれば、議会と
司法に対する大統領の支配力が大幅に増し、その結果、
エルドアン大統領が今後10年以上、権力の座に居座り
続ける可能性を意味します。そうなれば同国の中央銀行
にとっても厄介で、高インフレ率と膨大な経常赤字への
取り組みが一段と遅れることが予想されます。
トルコリラはどう反応する?
トルコの通貨リラは対ドルでこの5年間に50%下落しています。
ただ、第4四半期の需要はやや持ち直し、短期的には
国民投票で「賛成多数」となれば、政情不安が取り除かれる
ことでリラが押し上げられると想定されています。。
一方で、反対多数となれば選挙が実施されるとの見方が
浮上し、リラは下落圧力にさらされるというのが大方の
見方です。
中期的にはリラの下落基調は変わらない?
重要な問題は、国民投票の結果はどうあれ、トルコがかねて
抱えている金融の脆弱性への取り組みが重視されるように
なるのかどうかです。例えば外部金融への依存度が大きいと
いう問題で、IMFによると、トルコの政府・銀行・企業は
年間で2000億ドル(約22兆円)超の資金を借りる必要が
あります。そのうちの半分以上は短期債務の借り換えに
頼っているという脆弱ぶりです、
リラにとってもう一つ重要な点は、中央銀行の政策で、
インフレ率は今年3月に11%に達しているにもかかわらず、
低金利を維持するよう政治的圧力を繰り返し受けてきた
中央銀行は、今のところ引き締め策を主要政策金利以外
の手段に依存しており、こうした政策が長続きするかどうか
が疑問視されています。
トルコリラの見通しを考える場合、短期的な国民投票結果と
中長期の問題を分けて考えたほうがよさそうです。