
インドの鉱工業生産と電力需要が数十年ぶりの急落でドル円が示唆していることは?
インドの景気減速が加速しはじめています。
直近の当局が示した製造業生産高は8年ぶりの下落となり
また大手産業の電力需要は12ぶりの低さとなっています。
最近発表となったインドの鉱工業生産は4.3%の下落と
2011年ぶりの低さとなっています。
インドの鉱工業生産の下落は2か月連続となっており
これ自動車産業の不振が影響しています。
インドのGDPと消費の動向は
インドの前四半期GDPは5%とここ6年間の最低水準となっており
その原因は自動車産業の不振と消費の落ち込みからきています。
また政府支出を大きく減少しており、これもGDPの低下に影響
を及ぼしています。
この鉱工業生産の不振はインドの10月の電力需要が13.2%落ち込んだ
要因となっており、これは12ぶりの不振の数字です。
同時にインドのインフラ支出も十数年ぶりの下落となっており
政府支出が抑えられていることが大きく影響しています。
インドの不振が与えるドル円市場への影響は?
アジアで3番目の経済規模をほこるインドが10年ぶりの不振
をきわめていることは、とても不吉な現象です。
気持ち悪いのが、それにも関わらず株価は好調でS&Pは
最高値を更新するというなんとも不思議な状況です。
これは、世界的な金利引き下げの影響で、行き場のない
お金が株などのリスクアセットに回っているためだと
思われますが、危険な状況は、金融緩和を続行させている
なかで、長期金利が急上昇しはじてめていることです。
ファンダメンタルズを見れば、このインドの経済不振が
示しているように、金利が上昇する局面でもなく、また
株価が最高値を更新する環境ではないはずですが、このミスマッチ
な現象が世界の市場でおきていることは警戒すべき市場
状況であると警戒しています。
まとめ
インドは新興国を代表する国ですが、製造業中心の国に
おいて、これだけ不振な数字が示されていることを考える
と金融市場を見るさいに今起きている株価の上昇は
逆に注意すべき状況なのかもしれません。
FRBがこの夏から利下げ政策に転じたところから、株価の
上昇が続いていますが、経済状況だけをみると、とても
ブルトレンドあるとは言えない状況だと思います。
ドル円やクロス円も今の上昇は、しっかりとした
ドル高円安なのか、それともレンジ取引なかのドル高
円安局面なのか見極める必要があると思います。
本来なら世界経済の牽引役とならなければならないインド経済
がこの極度の不振に陥っていることを考えると、為替市場
もリスクオンにそったオペレーション(円安基調)にベットする
ことは危険なような気がします。