
イタリア、30億ユーロ景気刺激策発表するもその後の舵とり大変?
イタリア新政権レッタ首相は住宅課税の中止と賃金補助に約10億
ユーロをつぎ込む総額30億ユーロの景気刺激策を発表しました。
中道左派、民主党のレッタ首相と中道右派、自由国民党のアルファノ
副首相との間で右派の公約を最小限組み入れた妥協案です。
自由国民党の新な不動産課税の撤廃を主張と、民主党の夏季の間だけの
中止であり、不動産関連の課税全体について見直す過程であるとする
民主党との主張とは隔たりありますが、新政権の政策合意することを
重要視したものと思われます。
しかし、440億ユーロというイタリアの歳入の大きな部分をしめる
税収減の代わりの税収負担を増やすことはなく、いまのところ政府の
財政支出の削減からまかなうという綱渡り状態の財政状態は続きそう
です。
今回の刺激策が一番深刻な雇用問題には直接効果はない一方で
ユーロ基準である財政赤字をGDPの3%以下に抑えるルールを遵守できる
か、レッタ首相新政権の難しいかじ取りも露呈しているようです。
この矛盾を内包したまま、現在のイタリア国債が堅調に推移できる
かどうか、イタリアの財政にも大きく関わってくる国債市場に注意が
必要と思われます。
いまのところ、日本発の異次元の過剰流動性はこの脆弱な部分のユーロの国債
市場に貢献する一方で、国内の国債市場はリスクが増大し不安定になるという
皮肉な結果ももたらしているようです。