アルケゴスショックで大損失を回避できた投資銀行とその背景は!?SECが調査開始
今回起きたアルケゴス・キャピタルに関わる大混乱はいまだに尾を引いている
ようですが、この背景にあるの大規模なデリバティブ・エクスポージャーが
公然と流出し、リーマン以来ウォール街を襲った最大かつ最も痛ましい
マージンコールへとつながった大損失が生じました。
アルケゴス社にまつわる騒動の詳細が明らかになるにつれ、少なくとも6社の
プライムブローカーが、市場全体に打撃を与えることなくLTCM以来最大の
ヘッジファンドの破綻を解消するために奔走していたことがわかっています。
大損失回避のために奔走したブローカーは
このビジネスで生きていくためには1番になるか、賢くなるか、ズルをするか
と言われています。
以前、モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスが、パニックを起こさずに
ポジションを解消するためのコンセンサスを得ようとしたクレディ・スイスの申し出努力を拒否し、
「最初」にブロックトレードに奔走していたことを紹介しました。
また、野村證券とクレディ・スイスは、株価が暴落し、カウンターパーティ・リスクの
ヘッジ・プレミ アムが爆発的に上昇する中、何をすべきか分からずに奔走していた
こともわかっています。
ブルームバーグの報道によれば、ドイチェバンクは、アルケゴス・キャピタル・マネジメントの
破綻で差し押さえられた約40億ドルの株式を、金曜日に大規模な非公開取引で売却した
言われています。
ドイチェバンクの売却先が1社なのかコンソーシアムなのかは不明ですが
もし1社であれば、ファンウェイ氏の巨大なポートフォリオの混乱した解消から
オペレーションの中で最大の取引となります。
また、これまでに清算されたアルケゴス社の投資の既知の価値は、
約300億ドルと言われています。
ドイチェバンクは、ウェルズ・ファーゴと並んで、今回の騒動で無傷で
済んだプライムブローカーの一角と言われています。
SECがこの件で調査を開始
そして今、大規模な市場の混乱の後にはいつものように、証券取引委員会(SEC)が、
ウォール街を騒がせたアルケゴスのレバレッジ・トレードについて予備的な調査を
開始しました。
ブルームバーグの報道によると、この件に詳しい人物によると、調査は初期段階にあり、
SECの執行部門の資産管理グループが主導しているとのことです。
なお、このヘッジファンドのオーナーがSECの標的になったのは今回が初めてではありません。
2012年、彼がかつて運用していたヘッジファンド「タイガー・アジア・マネジメント」は、
中国の銀行に関する違法な情報をもとに取引を行ったとして、SECと米国検察に告発され、
有罪を認めて6,000万ドル以上の制裁金を支払いました。ファン氏は、SECから顧客に
代わって資金を運用することを禁止され、ヘッジファンド業界から追い出されたため、
制裁後にファミリーオフィス「アルケゴス」を開設しました。
まとめ
今回の混乱で、より重要なると思えるのが、規制当局のレーダーを
潜り抜けている米国株式のトータル・リターン・スワップ/Contracts-For-Difference(CDF)
の市場全体にシステミックな影響についてです。この取引は、今回のアルケゴス
のケースで見られたように金融システムに膨大な未知のリスクをもたらす
可能性があります。今後、この取引の背後がどのように解明されていくのか
注目です。