
アメリカ逆イールドカーブの過去チャートから見る景気低迷に陥る可能性は?
先週、国債市場が、政治的ニュースと株式市場の下落を受けて
急上昇しましたが、実際ベンチマークである米国10年国債価格は、
月曜日の朝の100.22から金曜日の終値102.12へと急上昇しました。
米国債の急上昇で大事なことは
これは、世界中の投資家の動きであり、利回りは、3.04%から2.85%へと
急激に下がりました。株式市場が先週5.6%下落した一方で
米国債市場は急上昇したことになります。
逆イールドカーブになると?
10年米国債利回りは、FRBが今月利上げを実施することが予想されているなか
で急落し、イールドカーブの平坦化が続いています。
長期の利回りが短期の利回りを下回った時は、それは逆イールドと呼ばれ、この
「逆イールドカーブ」の言葉を聞こえてくると、のちに「景気後退」を口にする
人が増えてきます。
一部ではでは逆イールドカーブ現象起こしていますが、10年債利回りは
まだ1年債利回りを若干上回っており、これが、エコノミストが景気後退に
近いかどうか問われた時の判断材料となります。現状、このイールドカーブは
まだ逆イールドになっていません。
仮に逆イールドカーブになったとしても、特に株式市場に当ててみると
パニックになる必要にはないと思います。S&P500は、逆イールドカーブに
なった後平均して19ヶ月以上ピークアウトせず、平均して高値に到達する前
に22%上昇しています。
それは、経済にとっても悪いことでない時があります。長期金利が短期金利よりも
低いとき、それにより長期の投資が促進されます。これは悪いことではありません。
そして、仮に結果的に毎回景気後退が訪れるにしても、下の過去の事例が示すように
最初にイールドカーブが逆転時と景気後退が訪れるまで765日ギャップがあります。
過去に逆イールドカーブが発生したパターン
1973年3月に逆イールドカーブが発生し、後退は297日後に始まった。
1978年8月に逆イールドカーブが発生し、景気低迷は560日後に始まった。
1980年9月に逆イールドカーブが発生し、景気低迷は350日後に始まった
1989年2月に逆イールドカーブが発生し、景気低迷は564日後に始まった
2000年8月に逆イールドカーブが発生し、景気低迷は272日後に始まった
2005年12月に逆イールドカーブが発生し、景気低迷は765日後だった。
このように、逆イールドカーブ発生時と景気後退期にはかなりの時間的な
ギャップがあるのです。
予想よりも早く出現した逆イールドーカーブ
半年前までは出現していなかった米国の逆イールドカーブ現状が
ここにきてすべての期間で出現しています。
(チャート:Zero Hedge)
↑のチャートからわかるように、10年と30年の米国債イールドの間
で逆転現象が今回のFRBの利下げの結果として現れました。
一般的にこの逆イールドカーブの出現はリセッションの突入を示唆
すると言われていますが、FEDは、1年後のリセッションの確立を
33%と示唆しています。↓
(チャート:Zero Hedgeより)
しかしながら、この確率は小さくなる可能性があります。なぜならば
FEDは短期金利の利下げを開始したからです。利下げによって短期金利
の下落がすすみ、同時逆イールドカーブも解消されていきます。
しかしながら、過去の例からみると、上記のチャートのように33%
に達していると、すでにリセッションかあるいは今後リセッションに
陥る可能性が高くなっているのも現実です。
それを考えると、今後FEDが利下げ政策を継続してくることも
否めないと思います。
まとめ
上記の過去の逆イールドカーブが発生してときは、短期的な景気低迷の警戒信号
となっていません。一方で、景気が拡大する局面でないことも
確かであることも忘れてはいけないと思います。
その後にきた景気低迷について、株式市場の下落突入とか金融危機を
もたらすことに至っていません。過去逆イールドカーブが発生した時
その後ある時点で景気後退が訪れているのも確かです。逆イールドカーブ
について、考えなくてはいけないことは、景気についていつもとは違ったことが
起きていることも認識しておくべきだということだと思います。
その意味で、現状の米国経済、そして世界経済においても、なにか変調
が起きているのではないかと警戒しておくことは大事だと思います。
その意味でも、現状のドル円相場は、円高基調が強くなっていますが
さらなる円高について警戒しておくべきではないかと短期的には
気をつけたいと思います。